最弱勇者語録「俺はメイトのレジで『さっきこんな顔をした奴が来なかったか?ばっかもーん!そいつがルパ(略)』をやってるのを見たことがある」
うるうるの目で助けを求めるかよわい少女【魔道士/レベル:十/攻撃力:十八】に、男たちは、貴様、とわきの剣へ手をかける(参考値までにいうと、衛兵ふたりのレベルは八、攻撃力は十二だった)。
「あっ、待て!」
俺は衛兵が向かってくるよりも先に脱兎の勢いで逃げだした。
通行人を右へ左へ交わし、地肌ででこぼことした道を蹴る。待てー、待たんかー、ルパー◯、との声を背中に受けながら、西へ東へでたらめに走った。待てと言われて待つ馬鹿がいるか。あばよとっつぁーん、と俺は軽やかにさっそうと逃げおおせてやった。
「ぜはーっ、ぜはーっ、ぜはーっ」
道ばたにへたり込み、背中を小汚い石壁にあずけて肩を上下させる。汗だくだくだ。滝かよ。こっち来てから走ってばっかじゃねえか。転生前の一生ぶんの走行距離、余裕で超えてんぞ。引きこもりオタなめんな。体育の時間とか普通にさぼりまくってたからな。
通行人の視線やひそひそ話などかまってる余裕もなく、俺は乱れた呼吸が整うまで、腹んなかで、こんなひたすら逃げまわってばっかの勇者がいるかよとか、いいからチートで無双させろよとか、聖剣とロリロリな従者よこせとかの悪態を神(自称)のクソじじいにつけてやった。
そのクレームが届いたのか、ちょびっと天に願いが通じたみたいなことが、起こる。
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