俺の知ってる異世界のエルフは何百歳、何千歳の超長寿――うちのロリロリエルフ「花の四十歳でーす」――なぜなのか

 夕方前、街周辺のモンスターをあらかた討伐した俺たちは、ジェミナイへ引きあげはじめる。先頭をいく魔法少女コスの従者はこんこんと小言を並べた。小姑か。


「デネブちゃんは本当にアルくんのことが好きなんだねえ」

「どうしてそうなるのよっ!」


 後方の警戒およびにやにやする係を担当しているエルフに、前衛から抗議の声が飛ぶ。


「好きな人にはしっかりしてほしいものね」

「だからなんの勘違いなのよ。あたしはただ勇者様らしくびしっとしてほしいだけで――」

「はいはい。そういうことにしておいてあげるから、怒らない怒らない」

「なにその上から目線! あたしより実質、年下の子供のくせにっ」

「デネブちゃんは元気ねえ。若いっていいなあ。あー、うらやまし」

「あんたはいちいち年寄りくさいのよ。ほんとは八百歳ぐらいいってんじゃないの?」

「育ち盛りの花の四十歳でーす」


 道なき草原を歩きながらソアラはくるりと一回転してみせる。四十って数字が生々しくて重てー。

 何千歳とかの突き抜けた歳ならぴんとこないけど、へんにリアルな線だからモヤる。ことごとくアンティクトンこのせかい、セオリーに逆らってるな。

 見た目としぐさは中学生ぐらいなのに、ちょいちょいそういったむだな重さの片鱗をのぞかせる。そのギャップがロリババア属性持ちにはたまらないのかもしれないが。うっかりすると、俺も新しい境地を開拓してしまいそうだ。俺は生粋のロリにして二次元の専門家スペシャリスト。用心せねば。

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