スライムのこうげき! つうこんのいちげき!! 65535のダメージ! あなたはしにました 「って、オーバーキルすぎるわっ!」
『おまえは勇者の使徒を仲間とし、ともに強くなり、魔王を討つのだ』
「今日日、しこしこレベル上げなんて流行んねえんだよ。今どきの異世界転生ものの主流は、最強チート無双俺TUEEEE系だろっ。それもそろそろいい加減、旬を過ぎたってか? まったりスローライフ系あたりがこれからのトレンドってか?」
『知るか、そんなわけのわからんこと』
またわかれ道があった。今度は立て札もない。俺は適当に直感で左を選んだ。
「いきなりレベルがカンストしてるとか、伝説の聖剣を所持してるとか、死んでも時間をさかのぼってやりなおせるとか、相手を思いのままに操れるとか、ありえないほど運がいいとか、手足伸びるとか、かめは◯波撃てるとか、なんかひとつはチートスキルがあってもよさそうだろっ」
『寝言は寝てから言え。もとの世界でろくでもなかったおまえにそんな虫のいい話があると思うな。おまえの解する言語の世界を選んでやっただけでも感謝しろ』
「こんなクソスペックで言葉も通じなかったら速攻詰んでるわ!」
みたび、道が枝わかれしている。しかも三方向に。当然のように立て札はない。もうやけ気味に根拠もなく直進した。
特になんのヒントもなく、ただの運まかせの選択肢って、昭和のゲームブックかよ。いきなり赤と青の薬、どっちか飲まなきゃいけなくて、片方が毒で即ゲームオーバーになるやつ。安直かつ理不尽な二択。
てかなんで俺、やたら昭和の豆知識あるんだよ。ギリ二十世紀生まれの歳でおかしいだろ。
躍る
『勇者の使徒は心強い仲間となる。だが気をつけろ。そのなかには裏切り者が紛れ込んでいるだろう。ゆめゆめ、寝首をかかれんようにな。では勇者の奮闘を期待する』
神の野郎の声はそれきりやんだ。
その頃にはスライムも振りきっていて、滝汗でぜえぜえと膝に手をつく俺の耳には、どこまでも続く草のざわつき、空の高いところを舞う鳥の鳴き声、それらがひっそりと聞こえるだけだった。
気がつくと俺は、なんにも、本当になんの目印もない草原のまっただなかに、ぽつんとたたずんでいた。
やべ。ここ…………どこだ?
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