第59話「話題が尽きた! 」
~キャラクターのハウスにて~
「本物だよ、本物だよ修三君、写真撮ってもらおう 」
「うん! 」
~クマさんのアトラクションにて~
「この本昔来た時は英文読めなくて絵だけみてたな~」
「今の修三君なら読めると思うよ」
「本当だ読める、櫻井さんオレにもこの英文が読めるよ! 」
~幽霊のよく出るマンション前にて~
「さ、櫻井さんこのマンションに…………行くのはやめようか」
「うふふ、よく言えました! 」
~お城前にて~
「良いな~こんなお城で暮らしてみたいな~」
「そうだね~外国なら運が良ければ泊まれるみたいだから良ければ今度外国まで! 」
「うん、そうだね! 一緒に行こう! ! 」
カチューシャを身に着けショップを出ること数時間、オレ達はまったりと事前に計画を練っていた一番のクマさんのアトラクションのファストパスを取り他のアトラクションで遊びながら昼食も食べた。
昼食はハンバーガーを食べたのだけれどパティがキャラクターの形をしていて正にここでしか食べられないハンバーガー! という雰囲気で味は勿論のこと見た目もよかった。
「次は……シューティングゲームだね、行こうか」
そろそろパレードが始まるけれどそれは夜に観ることになっていたので城を通り過ぎて人気アトラクションの1つシューティングゲームの列を目指す。時間的には予定よりも順調なのでここで数時間並んでも問題はないのだけれど、問題は……
「…………」
「…………」
話題が尽きたことだ! まずい、これはマズい! 夢の国の試練、これは沈黙による気まずさ! ! これを何とかしようと今回は話題を色々と仕入れてきたのだけれど片道4時間ほどの運転にここまでのも合わせて計8時間位話したとなると流石に尽きてしまう! 帰り道も考えて数時間、何かを考えなくては!
「櫻井さん、ごめんオレちょっとお手洗いに……」
「それなら私も行っておこうかな」
丁度お手洗いの看板が見えたのでそう言って別れすぐさま個室に入りスマホで「夢の国 話題」で検索をする。
「なになに? パンフレットをみて計画を立てる? これは事前に立てちゃったから駄目だなあ。次は一緒に音楽……ダメだプレイヤーは持ってきていない。昔ディズニーに来た時の話か……」
そう言われて昔のことを思い出す。最後に来たのは中学1年の時だった。丁度ませていたオレは行き交うカップルたちを嫉妬を込めた目で見つめながらアトラクションを回っていたなあ。
……とてもじゃないが話せる話ではない。
「最期は……並んでいるアトラクションの雰囲気や設備から会話を考える」
なかなか上級者向けの課題だ。しかしこれなら話題が尽きることもなさそうだ! シューティングゲームだったらスコアや元の作品映画の感想に好きなキャラなど話せばいいだろう! そうと決まったら実行あるのみだ!
オレは個室から出て手を洗うと近くで櫻井さんを待つ。彼女もすぐ出て来た。
「櫻井さん」
オレは彼女に駆け寄る。
「修三君」
「「今から行くシューティングゲームのキャラが出てくる映画みた? 」」
「あ! 」
「え? 」
しばしの沈黙の後オレと櫻井さんはしばらく笑いあった。
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