第55回:テーマ『あう』
タイトル:せかいにはきみとわたしとタピオカ
七夕の願い事を、今年は書かなかった。
梅雨が明けない7月上旬、今ごろ同級生はテスト終わりに街まで出てタピオカを飲んでいる。私は自習室でひとり、教科書の英文をたどたどしく追いかける。
なんてったって、明日の英語のテストがヤバいのだ。
コンコン、
まだ冷房の解禁されていない、ぬわりとした自習室の窓を外から誰かが叩いた。
私は気付いてガラリと開く。自転車を止めた君が少し息を弾ませている。
「タピオカ、また新しいお店できてたから」
窓越しに手渡されるじわりと汗をかいたタピオカと君。
私の世界が自習室の四角より少し広くなる。
タピオカ持ち込み禁止令が学校から言い渡されるのはまだ先の話である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます