合流
ジローさんのツルハシは一般的なツルハシをと同じで鉱技などは使えないようだ。しかしそれを補って余りある正確さを彼は持っていた。ミルのレクチャーを受けたココ、そして彼がいればショッピングモールだって守れるはずだ。
俺はそんな頼もしさを胸に感じながらひたすらツルハシを振るい、資源を取り出している。ここ1週間はほとんどミルとここには顔を合わせていない。ジローさんと一日中、資源を取り出しては税理士を繰り返していた。
衣類を引っ張り出し、その拍子に尻餅をついた時1週間ぶりにミルとココがショッピングモールの方から俺たちのいる氷壁の方へ向かってきた。
「ココに一通り氷鉱夫としての技術をレクチャーし終えました」
「そうか!こっちはジローさんが力を貸してくれるって!」
俺とミルが盛り上がっているとココとジローさんが緊張したようにもじもじしながら向かい合っていた。俺はハッとした。ジローさんはココに並び立つ資格なしと思いココに余り近づかず、作業と戦闘を一人でこなしていたのだ。何か距離感が微妙になっても仕方ないことだ。
しかし俺の心配をよそにココがジローさんに突撃せんばかりに近づき切り出す。
「ジローさん!ミルからいろいろ習ったんだ!もうジローさん一人でやらなくていいよ!今までごめん!」
ジローさんは驚いたような表情だ。ココもココで胸に秘めていたものがあったらしい。確かにジローさんに先頭を任せっきりにしていたのは責任を感じていたのだろう。俺とミルはそんな二人の会話を見守っていた。
「違うんだココ………僕はね………自分に自信がなかったんだ。だからショッピングモールを一人でまとめるようなココに並ぶ資格がないと感じてた………助けてもらった恩返しは一人で戦うこと、掘り出すことだと思ってた」
「ジローさん………」
「でも隣に並んだほうが恩返しになると思い直した。ココ。君の力に…隣でツルハシを振るってもいいかな」
「いいよ………!ボクも今までできなかったことやるから………一緒にできなかったことをやろうよ!」
ココはジローさんの腰に抱きついた。横顔からうっすらと涙が流れるのが見えた。ジローさんは彼女の頭にポンポンと優しく二回触れる。
俺とミルは空気を読んで二人から少し離れ、氷壁の前に向かう。2人にしかわからない感覚があると感じたのだ。
「………2人が仲良くなれてよかったな」
「………そうですね。ですが本番はここからですよ」
短髪のココと長髪のジローさんが楽しそうに話しているのを見ると忘れてしまいそうになるが、ブリザードドライが体の装甲を取り戻し、こちらに近づいてくる。頃あいが近づいているはずだ。
「しばらくしたら作戦会議しよう。戦略はミルに任せる」
「わかりました。では、その場その場の戦法はマインの方がお得意でしょうし任せます」
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