部屋

「とりあえず、2人とも吹雪の中抜けてきたわけだし今日は休んでよ。みんなにはちゃんとボクが話をしておくよ。そこのスタッフオンリーって書いてあるところの部屋使って!じゃ!」


ココはそういうと嬉しそうに通路をスタコラさっさとかけて行ってしまう。ポツンと2人残された俺たちはココに言われたドアを開けてみる。


「部屋…?」


「まぁ、商業施設らしいし部屋っぽい部屋ではないだろ」


ドアの向こうは鉄の棚と段ボールに囲まれた寒々しい部屋だった。しかし外よりはよっぽど環境はいい。


俺とミルはなんとか使えそうなスペースにダンボールを敷いて腰を下ろした。久しぶりにリュックを下ろした気がする。


「はぁぁ…疲れた。初っ端で食わしたのがブリザードドライって…」


ここはもう国内ではない。ビジネスとして保護された氷鉱夫活動はもうできない。ピンチになっても駆けつけてくれる戦友はミルしかいなかった。しかしこうして拠点のような場所を得ることができたのは少し安心する。


「マイン…ココのことどう思いますか?」


「ん?優しいやつだな…としか。あとロングも似合うと思う」


ミルは呆れたようにため息をつく。後半は冗談めかしたのに。


「そう言うことではなく…見知らぬ2人をいきなり自分の治める組織に引き入れますか?」


「それだけひっ迫してるんだろ。ショッピングモールにツルハシがある方がびっくりだよ。氷の壁から資源を取り出せる人員が少ないのはしかたない。だから俺たちを頼ったんじゃ」


ミルは少し考えるとずっと立ち上がりリュックの中から缶詰を二つ取り出して部屋から出て行った。俺はあえてどこに行くのか聞かない。ミルにはミルの考えが、意思があるのだろう。


 俺は部屋の中の段ボールを興味本位で少し覗いてみた。食料品はやはりココたちが管理しているらしいので残っていない。からの段ボールだらけだ。


 しかし段ボールの上に一枚の地図があるのを見つけた。俺は埃を払ってそれを観察する。


「ここの地図か…食料品売り場に服…靴…スポーツ用品…雑貨…宝石…」


氷の社会では食料、衣類以外には需要が少ない。ここにきたときみたがやはりそういったテナントは埃が目立っていた。そういえば地図の中、食料品の売り場の近くのベンチが集まったボールのような場所にココたちが暮らしているらしい。


 一方ココはそのホールで皆に説明会を開いていた。


「みんな!氷鉱夫が2人ヘルプに来てくれました!協力してくれるそうです!みんなでサポートしてあげてください」


そこにいたショッピングモールの住人たちは互いに笑顔で顔を合わせた。資源が増える可能性が出てきたのだ。それは無理もないことだ。


 ココが嬉しさに胸を弾ませながらホールを後にし、マインとミルに勧めた部屋に行こうとすると、通路の角にミルが腕を組んで立っていた。


「どうしたの…?あの部屋寒かった?」


「いいえ…ちょっといいですかココ」

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