注意

ココはミルと共に二階、ほとんど人の立ち入らない。雑貨、化粧品、宝石の売り場を2人で歩いていた。


「危ないって?」


「そうです。私とマインが危ない人たちだったらどうするんです。いつもホイホイ引き入れてるんですか?」


「そんなことないよ。警戒はしてるよ。一旦マインは拘束しちゃったし」


「私は避けましたがね」


ミルが自慢げにそういうとココは不思議そうな顔をする。そのあとすぐに吹き出した。ミルも思わず頬が綻んだ。


「警戒してるならよかったです」


「うん、ミルは優しいね」


「そうですか?…マインの方が優しいと思いますよ」


「へぇ?マインってどんな人なの?」


ココは歩きながら見るの顔を覗き込む。ミルは少し悩んだ。マインはどんな人か、ミルから見たら………そう考えると難しいと感じた。


「人のために動けます。あと白いツンツン頭で………甘いものが好きです」


「良いところがぱっと出てくる関係っていいね!ボク憧れちゃう」


「そうですね。私のために窓から飛び出したこともあるんですよ」


ミルは思い出して少し笑う。マインがミルのオーバーワークを止めるためにやった行為だ。後から聞くと自分の上司であるカイと模擬戦をしたとかとんでもない話を聞いて驚いたのだった。


 ミルの目的も達成され、2人なんの目的もなく、ショッピングモールの二階をふらつく。埃をかぶったショーケースの中に何があるのか気になったり、半袖の服を見て珍しく思ったりしながらミルは眺めた。


「……甘い粉みたいな匂いがします」


「お化粧だね」


ココは散らかる段ボールをのけながら一つのテナントに入る。ミルにとってそのテナントの中のものは防寒具としか思えなかった。化粧品だ。肌に塗れば寒くなくなると思いココは試したが吹雪がたやすく貫通してきたと言う。


「お化粧とかするのミルは」


「しませんね」


ミルは中をフラフラして一つの品を手に取った。長いカツラのようなものだ。それを視界のココの横顔に合わせるように移動させた。


「確かに似合う………」


ミルはそれを棚にきれいに戻すとテナントを出た。通路の突き当たりまで来ると上と下に行く階段が見える。上はもう屋上で小屋のような部屋があるだけだとココは説明した。


「屋上に氷鉱夫の人が1人住んでるんだ。でも今日は休んでるみたいだからまた紹介するよ」


「わかりました。ではマインのところに戻りますか。置いてきてるので」


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