トップ層
国内内部にまで攻めてきていた相手を倒すことに成功し、残るは隣の国であるヒョウとの戦線のみとなった。
グレン、ツドラル両名は可能な限りのスピードで戦線に向かっていた。
「こちらツドラル…各戦線の状況を教えてくれ」
「………こちらヒョウの国との氷壁開通部分!応援を!」
「開通部から右方約200メートルはもう平気です!」
「左方200メートル、右に同じ!」
二人はそれを聞いて開通部分はヒョウの国にとって氷壁を越えずとも直接戦力を送れる場所だ。こちらにとっては1番脆いところである。
住宅を抜け、街頭が前から後ろに行くって流れたかわからないほど駆け抜けると、ようやく2人の耳に戦闘の喧騒が入ってきた。
次に2人の目に入ったのは一見氷塊キューブのようにしか見えないというより氷塊だ。内部に冷気を内包している。戦い方は射程攻撃がそのほぼ全てを占める。これは相手を近づけないことに由来する。
「ブリザードキューブ…」
「……なんつー守護者を…」
ブリザードキューブの頂点が冷気を発し始めた。直後青い光が一直線に伸び、剣を振るうが如くあたりを薙いだ。
「全員下がれ!!」
ツドラルが呼びかけ、氷鉱夫たちが飛び退くや否や氷鉱夫のいた位置は光が当たるや否や瞬く間に凍りついた。
「体の一箇所でも当たればカチカチだ。俺とツドラルで戦う」
「無、無茶だグレンさん!いくらあなた方でもあんな砲台みたいなの!」
一人の氷鉱夫がそう抗議するも聞く耳を持たず二人は突っ込んでいった。キューブアイスがこのまま冷凍光線を撃ち続ければ被害は大きくなる一方だからだ。
キューブアイスの全身が逆立ち、ツララがささくれのように剥がれこちらに向かって飛ばされる。
「弾幕というより…」
「もうカーテンだなこりゃ」
一目見ただけではキューブアイスのツララ弾幕は一つの布のように見える。目を凝らすとやっとツララの塊だとわかるほどの濃密な弾幕。
「グレン頼む!」
「ほいきた!!」
炎のツルハシをグレンが振るう。その威力、辺りを夏に変えてしまうほどの熱気だ。ツララの弾幕は溶け落ち、水しぶきが散った。
水しぶきを貫通する槍の如く突き抜けたツドラルは鉱技を発動し、キューブアイスに迫る。
「突貫!!」
鉱技でスピードの上がったツルハシは放たれたや弓のように鋭く相手を突いた。しかし問題はここからだ。キューブアイスの情報は少なく、近接の場合どんな力を持つのかわからないのだ。
万が一に備えツドラルは一撃を加えたあとすぐさま下がりツルハシを構え直そうとする。しかしここでツドラルは驚くべきことに気付いた。
「………体が動かないだと?」
キューブアイスは再び冷却光線を放とうとしている。しかしツドラルは体が凍り付いたかのように全く動かなかった。
「ふれた相手は動けなくなる…ということか!」
冷却光線は固まってしまったツドラル目掛けて放たれる。しかし空中で炎の噴射と突撃し中断され空気中に衝撃が走る。
凍結の解除されたツドラルは急いでその場から離れる。火炎放射をうったのはグレンであった。
「すまん!」
「ブリザードキューブの情報なんて氷のかけらほどもねえんだ、仕方ないさ」
ツドラルは凍結が解除されると前のめりにこけそうになるがすぐにツルハシを構えた。するとブリザードキューブの後ろ、開通部分からめがねをかけた男が現れる。
敵意のあるブリザードキューブの近くという危険地帯に無防備で現れたその眼鏡の男の正体はすぐにわかった。
「流氷だな………?」
「ご明察…私は流氷リーダー…そしてヒョウの国ボール氷鉱夫団と同盟を結んだ男。マックスだ」
眼鏡の男は胸元のポケットから一つキューブを取り出した。ダイヤモンドのようににすき通り美しいそれを弄ぶようにしながらマックスは
こちらに近づいてくる。
「これまでの戦いで君たち二人が相当の実力者であることはわかっている………だがこのキューブを使えば… 」
勘だった。しかしツドラルとグレンがそのキューブの使用を防ごうとしたのにそれ以外の理由はなかった。あのダイヤのようなキューブが何かはわからないが止めなくてはいけないと感じた。
「止めろ!!」
「遅い」
キューブをマックスは自らの胸に当てる。するとふれたところから氷が貼るように鱗のような組織がマックスを覆う。顔は青く、爪は長く、しっぽも生えた。その様相はまるで守護者だ。人型の。
「今まで簡単に行ってだろう?流氷もヒョウのの国もなんとか防げる、と思ったろう?そんなことはないのだ。相手にとっての敗北の原因、味方にとってのヒーローであるマックスがいるからな」
マックスは吠えた。同心円に衝撃が響き渡る。耳が割れそうな音だ。建物が震えそれはツララ塔まで伝わった。
「行こうかブリザードキューブ………我らに勝利を」
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