分断
相手の第二陣に対し警戒を続けていたが、すでに当たりは暗くなっていた。氷壁付近の戦線から何人か氷鉱夫たちが中心部に戻り、すでに4時間が立っていた。
「マイン、お疲れ敵もまだ来ないし休むといい」
「ありがとうございますカストルフさん…」
敵の攻撃は止み、こちらがフルで警戒し続ければ確実に疲弊する。それを防ぐために戦線も中心部も交代で見張りを続けている。
「それにしてもまだ夜だけど一体は中心部にいるはずなんだが…」
「そうっすね…ミルが一体、俺と共同で一体、ノルダとクリヤで一体です。あと壁を作ってたクリスタ20体はグレンさんとツドラルさんが」
「相変わらずお二人は凄まじいな…マインたちもよくやってくれた…」
「カストルフさんも隣との開通部分を守ってたんでしょ?大変だったんじゃ」
「頼もしい仲間のおかげで怪我もない、さぁ、休むといい」
カストルフさん言葉に甘えおれはミルのもたれかかる壁の近くで同じように休み始めた。まだ本来ならここは喧騒の残る商店街のはずだが、避難のせいで静寂が辺りを包み込んでいるる。不思議な感じだ。
しばらくすると静寂を切り裂くような警報音がおれの目を覚ました。ミルも同じように目を覚ましたようだ。
「何事ですか⁈」
「おはようミル!まだ夜だけど!なんか警報だ」
ツルハシを構えて見ると背中合わせに警戒する。辺りを見渡しても敵の姿どころか音も聞こえない。というより大切なことに気付いた。
「…………カストルフさん?」
見張りをしてくれていたカストルフさんが胃当たらない。カストルフさんほどの氷鉱夫が音もなくやられるわけはないが、姿が見えないのは俺たちの不安を煽った。
「俺たちのホームだぞ?夜戦なんて仕掛けてくるのか?」
「マイン横!」
ミルの声が聞こえるや否や真横に気配を感じた。街灯によって相手の姿がチラッと見える。しかし俺は引っ張られような感覚の後その姿を見失った。
「な、なんだ?ミル…平気か?」
つぎに目に飛び込んできたのはツララ塔だった。少なくともツララ塔から200メートルは離れていた筈だ。ミルの姿も見当たらない。
「な、なんだ⁈ワープ…?」
慌てつつ無線を繋ぐ、しかし範囲外のようだ。つまりミルもどこかに飛ばされたと考えるのが妥当だ。
「どういうことだ?」
少しすると爆発するような勢いで放送が流れた。
「こちらツララ塔!!全氷鉱夫に通達!内部に入ったのはマジックアイス!!無差別な氷鉱夫をワープ、陣形を乱されれている!」
アウェーなら相手を動かして仕舞えばいいという算段だ。おそらく陣形を乱すという言い方から個々にされてしまっている。守護者とタイマンを張れるような氷鉱夫は少ない。
「国中に散らばったのか俺たち!とにかく誰かと…」
無線をランダムに合わせて見る。誰がとつながるかもしれない。しかし誰か出たかと思うとすぐに切れてしまう。
「ワープさせられた⁈コンタクトも取れないのかよ!」
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