資源保管庫
「ちょっとぉ!あんまりバンバン撃たないでよ!」
超高速で放たれる電撃砲をかわしながらクリヤが言った。
資源保管庫には流氷のポーンという人間が守護者と共に攻めてきていた。こちらもマインとミルの方と同じく強力な相手だ。
クリヤか文句を言うのも無理もない。電撃を纏った触手、そこから放たれる電撃砲のせいで全く近づけないのだ。
「ボルター…って言ったね…確か」
「さすがこの国の氷鉱夫は博識で優秀だ…だがボルターの猛攻を止められるかな?」
ボルターは氷の中から発見されたら綿密な作戦のもと、10人以上で戦うのが当たり前の守護者だ。線の細いフォルムたが、触手の鞭打、雷撃は強力である。けさら
ノルダが刃状の飛ぶ攻撃を放ち一旦距離を取る。相手の攻撃に一度でも当たれば痺れてしまう。距離の把握は大切だ。撃たれた刃は触手を商店や街頭にひっかけての移動でボルターによって避けられてしまう。
「これ以上下がるわけにはいかないね…」
「そうだね!だってもう真後ろだもん資源保管庫」
触手の素早い薙ぎ、電撃砲によりジリジリと後退、気づけば守るべき対象である資源保管庫まで追い詰められていた。
追い詰めた2人をみつめ、ニヤリと笑ってポーンはこちらにキューブを投げつけてくる。空中で展開するや否やネットが吹き出し、眼前を覆う。
「これ…金網じゃん!」
鉱技で切ろうとした手をノルダは止め、横っ飛びしてネットを避ける。しかし触手が襲ってくる。避けるのはなんとかなるが、近くのは容易ではない。
「もう…近づけないし…」
ツルハシで電撃を帯びた砲撃や触手をツルハシで受けると感電するかもしれないので避けるしかない。ツルハシは守護者の爪や鱗からできていて材質が不明瞭なところがあるからだ。
ノルダはあたりを見渡し使えそうなものを探す。そして雷撃砲、触手をかわしながら考え続けた。
ノルダが師であるツドラルに言われたことが二つあった。まっすぐ目標を見つめること、それとスマートに戦うことだ。ここにくる前に言われ、ずっと何かを考えていた。
「まっすぐ…」
「ノルダ前!」
思考に浸りすぎて気付かなかった。目の前に10本もの触手、その先端すべてが音を立てて電撃をチャージしている。
しかし思考が完成する方が電撃砲が撃たれるよりも早かった。ノルダはツルハシを振るった。
ガードをすり抜け飛んでゆく攻撃、これは触手をすり抜けボルター本体に当たろうとしていた。
ボルターはスライドして避けるも本体の移動により雷撃砲も触手もずれて隙が生まれた。
「クリヤさん!」
クリヤは半透明のツルハシを真後ろの資源保管庫に打ち付けた。資源保管庫そのものが空気に溶けるように見えなくなる。
虚をつくために取っておいたノルダ考案の作戦だ。攻めるべき対象がいきなり見えなくなったことにボルターは戸惑った様子を見せる。
その瞬間、ノルダとクリヤが触手を考えずに動ける僅かな好機が生まれる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます