攻略

バリヤーを出す相手は本体も角ばっていて強そうだ。射程攻撃を飛ばしてくる可能性も考えジグザグに接近する。しかし今のところは杞憂だったようであと数メートルまで接近できた。


 するとバリヤーが俺たちの前に貼られた。今回は加速する距離がなかったため一発では抜けることができない。しかし俺たちがここでバリヤーの相手をすることで相手は他のアイシーアイに張る分のバリヤーを疎かにできる。


他のアイシーアイに注意を向けさせないよう、俺とミルは挟撃を始める。2枚のバリヤーが相手を挟むように開かれ、俺たちの攻撃を阻む。

ミルもたくさん鉱技を打てるとはいえどれだけ長引くかわからない戦闘なので闇雲に発動することは避けている。



 推進力をツルハシで発動し、攻撃力を上げてバリヤーを削っていく。のれんに腕押しかと思うほどの頑強さに加え本体もバリヤーの向こうからブレスを飛ばす。白い熱線がバリヤー越しにブレスは放たれ俺のほおをかすめて焦げた匂いがする。当たれば相当ダメージを喰らうがここで止まるわけにもいかないのだ。


それに相手は氷壁に背を任せているので三方のみ警戒すればいい状態だ。バリヤー3枚と後方の氷壁、四角柱の中に相手は位置していた。


「硬いバリヤーにブレスか…ミル…俺がバリヤーをどうにかする…そしたら…」


「わかりました」


俺は相手の三方を囲むバリヤーの近くの氷壁に接近する。推進力を発動し、氷鉱夫体術で壁に張り付き、走り出す。壁走りをする俺は相手の視線を引くように駆けていき、相手のバリヤーがないところをめざす、それは相手の上だ。


 壁を蹴ってバリヤーのない上から相手に接近することができた。相手はこちらにトゲを向け迎撃の態勢を構える。


「こっちだ!」


俺は氷鉱夫体術壁歩きをバリヤーそのものに使い、バリヤーから相手の後ろの氷壁へ、氷壁からバリヤーへとかけてゆく。バリヤーの中で跳ね返り、走る俺を相手は捉えられない。


 そしてたまらず相手がバリヤーをとき、俺から距離を取ろうとしたその時。


「はぁぁあっっ!!」


ミルの砲撃のような威力のツルハシが直撃する。外皮を無視するが如き威力は細身のミルからは考えられないほどの勢いで相手を氷壁に打ち付ける。氷壁が氷片となりあたりに広がる。キラキラと広がる氷のかけらは倒れ込む相手にふりかかった。


 

「はぁ…はぁ…結構体力使うな…」


 バリヤーの使い手を倒したことで氷鉱夫がアイシーアイと戦いやすくなり勢いづく。


俺はミルの攻撃の巻き添えにならないように横に思い切り飛んでいたので近くの壁に打ち付けられていた。ミルがこちらに来て手を貸してくれる。


「やりましたね」


「あぁ。やったな!」


ミルとツルハシをコツンと合わせて俺たちは他の戦闘へと向かう。まだまだ戦闘は続くのだ。


 バリヤーがなくてもアイシーアイは球筋の読めない弾丸を打つので手強い相手だ。肩の砲台からどんどん弾が放たれ、動けなくなる氷鉱夫も少なくなかった。


 しかし遠くでアイシーアイが一体倒されたようだ。そちらをみるとジーン先輩が無傷のまま倒したアイシーアイから離れすぐさま他に向かうところが見えた。


「さっすが先輩!」


「じゃあ僕らも一体倒そうか、今度は僕も入れてね」


ひょこっととなりに現れたノルダがにこりと言った。久しぶりの3人揃っての戦闘だ。

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