3-6 G

「地上戦だ」


 ウォーカー大佐が、まず結論を言った。

 揃っている面々が皆、何処か覚悟していたかのように黙って頷いている。


「ベイルートキングダムの対空兵器は充実している。したがって、諸君等には地上戦用のフォーミュラを装着してもらい、歩卒として参加してもらいたい」


 少し私語が出た。どうせ、ジャミン・グループから流れた武器だ、とか何とか。

 まあ、その通りだろう。あのお父さん、お金持ちだから。あの息子さん、駄々っ子だしネ。


「SF-15のG装備だな。手頃な実験場が手に入って、コーラスも喜ぶだろう」


 ジュリアンが俺にそっと耳打ちする。そういえば、


「Gは初めてだ」

「へえ! じゃあ、どっちが早く慣熟出来るか競争だな!」


「ジュー、調子に乗っていると墜とされるわよ?」


 ヒラリーがたしなめる。


「SF-15は高価な機体だ。ハイスコアよりも生存率を重視した方が良い」


 ベルスもヒラリーに同調している。


「ここ、俺等にはアウェーだしな。ちょっと厳しいと思うぜ?」

「あら? コーラスから貰ったライフルとマントを活かすには絶好の狩り場じゃない?」


「う……ご存知でしたか」


 ブラムはヒラリーに苦笑を向けて、たじたじとなっている。ジュリアンが俺の脇を小突く。前に気づけと合図を送っている。


「そこ! 今何を話していたか分かっているんだろうな?」


 俺は立ち上がって、ウォーカー大佐に言った。


「G装備は空と勝手が違います。遮蔽しゃへい物を活用したオーソドックスな歩卒の戦技を求められている、と」


 話は聞いている。耳だけは働かせていたさ。


「よろしい! では、狙撃手には一人スポッターを付けるが、それぞれのチームの中から選抜される」


 ウォーカー大佐が言った後で、携帯端末に情報が送信されてきた。


「当然……狙撃手は俺。で、スポッターは……」


 ブラムが横を向く。ベルスが白い歯を見せて、にこりと笑う。


「キセよりはよっぽどいい判断が出来そうだ」


 ブラムは心底安心したように息をついた。

 それはそうだ、と俺も勝手に納得した。俺と一緒にいたら、あのお坊ちゃんに狙われる事になる。

 俺は釣り餌だ。精々フィッシングを楽しんでもらうとしよう。

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