Shooting Stars ~光鎧騎兵のカタルシス~

猫マイル

第一部 流星の子供たち

序章 新宿の夜空

「……何処からだ?」


 満天の星が一つ二つと光芒を引いて、地上に落ちていく。また誰かが、蘇った。また誰かが、全てを失った。


「銀色の光……冷たいね」


 ブラムがこちらをちらりと見て、また視線を天上に戻す。長い金髪がするりと黒衣の肩口に降りて、ふわりと風で舞った。


「命の光じゃない。俺たちは……」


 俺が苦し気に目を細めると、呆れたようなため息が聞こえた。


「ごめん」


 つい謝ってしまった。自傷行為に人を付き合わせるような台詞だった。


「キセはさ、ちょっと優し過ぎるんじゃない? そういうの今時の未成年じゃないっしょ?」


 やや非難と皮肉の色を纏った問い掛けが、俺の心を揺さ振る。数秒の後、真実を告白した。


「実はアラサーなんだ。なりは十四歳だけど」

「奇遇じゃない。俺も、なんだ」


 へえ。


「初めて聞いたんだけど?」

「初めて話したんだけど? 後、寒いんで、そろそろ帰りません?」


 あ。


「悪い。星を見たくなったんだ。綺麗だから」

「……まあ、気持ち分からなくもないですけど? こんなのの上じゃな」


 ブラムが足元を見下ろす。うずたかく積み上がった躯の山。いずれも異形の群れの成れの果て。髑髏どくろと骨格がかたかたと命のしぼりかすでうごめいている。

 あれは『ボーン』。俺とブラムは故あって、ここ新宿だった場所で仕事に従事している。化け物退治をする化け物として。

 俺たちは人間ではない。人々は俺たちみたいのを『ホシビト』と呼ぶ。何故そう呼ぶのかって? それは……。


「……」


 俺はまた夜空を眺めた。また一つ星が流れ落ちていった。

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