第99話 欲望センサー
「それは多分ユニーク装備ですね! その名の通りゲーム内に唯一の装備です! 噂は本当だったとは!」
「それにしても装備変更不可って酷くないですかね」
「変更不要でしょう! ユニーク装備ですから!」
一番詳しそうで、機密も共有している
「いや、ユニーク装備だからって変更不可能はないですよね」
「いえ、ユニーク装備なので変更不要です!」
日本語が通じなかった。
いや、おかしなテンションで言い回しもおかしいだけなのだろう。ユニーク装備はクセが強いが強力な武具が多く、死ぬまで外れないしトレードもできない幻の呪われた装備なのだそうだ。
「それにしても、ユニーク装備の取得要件なんて相当に厳しいはずなんですが……。獄怨とは随分物騒な名前の杖ですね」
「怨まれることしましたかね……」
「何したんですか?」
「何をしたかと言われましても……。普通に敵を倒していただけですが」
「さいとーさんソロで、ですか?」
「そうですね。最近は
「ソロで楽に……ですか。上級界なのにそれだけでも驚きですが。もしかしてノーダメージですか?」
「そう言われるとそうですね。ススキノの
「ソロかノーダメージか、その辺と上級界の敵を虐殺あたりですかね。『被ダメ軽減無効』もその辺の怨念がこもっていて、敵も自分も対象になっている可能性が高いのでその想定でいた方がいいかもしれません」
「防具が意味なしですか。今日せっかく強化したんですが」
「お、鍛冶場完成したんですね! 来週が楽しみです!」
来週から始まる討伐イベントでは関東から
「とりあえず、さいとーさんは慎重に行動をお願いします」
「まぁ、元々紙装甲でしたし。大人しく装備の強化でもしています」
「そうしてください。ではまた」
「お疲れ様です」
『賢者のローブ』が+3になり、防御力(被ダメ軽減)が5点から10点の2倍になって内心喜んでいたのにこの仕置き。本命だった防御力以外にここから伸ばしていくのは何にすればいいのだろうか。
電話していた無駄素振り200回を負った右腕が、プルプルと力なく震えていた。
新装備で1000回叩きから逃れられたと前向きに考えよう。
でも……『獄岩の杖』が欲しかったなぁ……。
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