第94話 ガーリックブレス
佐藤女史から解放された頃には23時を過ぎていた。先日途中までやっていたのもあり5時間拘束で済んだ。
他の魔法もと言い出すんじゃないかと戦々恐々としていたが、とりあえず
詠唱の合間で受けた報告では、創成川イースト界から外敵は駆逐されたとのこと。
上級界には珍しい非アクティブで、自爆待ちの爆弾岩的なモンスターである「獄岩石」を集結して圧殺したらしい。今後もススキノ界から敵を釣りだすので出現スポットを南側に優先配置するそうだ。
魔法使いにとっても非アクティブであまり動きのない獄岩石は相性が良い……と思う。
界の設定でイースト界は全面
元を知らないのでなんとも言えないが、
ともかく、腹が減った。今日は何も食べていない。
詠唱しながら腹も鳴っていたのだ。
上に乗っていた佐藤女史にも知覚されていたことだろう。マウント床ドンに続き、なんたる羞恥プレイ。これも自慢げに即日ネットニュースになっていた
とりあえず向かったのは狸小路1丁目と2丁目の境目。この辺りはさりげなくラーメン激戦区だったりするのだが、流石にこの時間はやっているお店は少ない。
確実に開いてそうなのは周囲に豚骨の異臭を放つ赤い看板の店だ。醤油派と特製味噌派で派閥が分かれるが俺は醤油派だ。
千円札を投入し、サービス券とともに発券機から出てくる醤油ラーメン券を握りしめカウンターに座る。店の中に入ると豚骨臭が気にならなくなるのはなぜなんだろう。
「お好みは?」
「脂多めで」
佐藤女史は
そして狙い通り、攻略最前線である冒険者ギルドに出向してきた。
ちょっと頭がおかしい。
佐藤女史が言うには、もうしばらくのらりくらりと情報操作を行いつつ、二重スパイのごとく向こうの出方を伺うそうな。
「はいお待ち」
脂を避けスープを啜ると、太麺の醤油ラーメンは相変わらず塩が効いている。横浜家系のようなまろやかさは控えめだ。しかし、ここにニンニクを投入だ。
ニンニク醤油の小麦団子をガツンガツンと咀嚼する。
「……vulgar」
脂でコーティングされ熱をそのままに、喉を通り抜け胃に溜まってゆく。熱い。ハイカロリー。
気が付けば、
俺も負けるわけにはいかない。ここまで来たのなら頂点を目指す。
ニンニク臭い気炎を吐き、
どうせまだ寝れないのだ。
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