第64話 商談
ラーメンとカレーのコンボから腹がこなれた俺は、再びビールの炭酸で腹を満たしていた。
「それで? 方針は決まったのかい?」
餃子バーのマスターに連絡したところ、場所指定されたのは餃子バーの奥。昼間からやっている生樽クラフトビールのお店だった。
どうせ夜は苦行の耐久詠唱が待っているのだ。昼間しか飲めないだろう。
「冒険者ギルドは土日の昼間をお借りして、スタートしようかと思います」
鼻腔を強襲するペールエールのホップの香りが鮮烈だ。クラシックの飲み飽きない感じもいいが、たまにはこういうのもいい。
「……なるほど。精々、バイト使うくらいかな? 初っ端から正社員を雇うとか言いださなくて良かったよ」
「国の予算だけをあてにはできないですからね……。幸い競合他社もいないので単体で事業が回る様にスモールスタートでいきます」
「怖いからねぇ……。単年度予算は無くなる時はさっくり無くなるからねぇ。良いと思うよ」
「それで、夜はマスターに対応をお願いできないかと。ワンドリンク必須で」
「なるほど。無料対応は土日の昼だけって事か。まーワンドリンク制ならウチとしてもアリだなー。土日昼間分の家賃もくれるんでしょ?」
細い双眸が細められ、口角が釣り上がるマスターからは普段儲ける気を感じないが、商売人として試されている気がする。口調は軽いがとても悪人面だ。
「こんなもんでいかがでしょう?」
餃子バーはそもそも屋根裏部屋もあるがカウンター5席の小さな店だ。ドリンクのみ一応提供可にして売り上げは餃子バー付け、土日の営業外時間の昼から5時間借りて月額2万円の提示だ。
「……うん、中々いい所の価格決めだね。大家さんにも相談しておくよ」
「お願いします」
これでとりあえずの活動実績を作れる。自分だけでも何とかできる所が
「ところでさいとーさん、イーストの土曜の狩りはどうすんの?」
「あー。……失念してました。とりあえずはその間は閉めておきますかね……」
「営業時間なのにやってないって心象悪いから、早めにバイトなりを考えといた方がええで」
「……善処します」
褐色の汗をかいた
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