第39話 休日の過ごし方


 日曜日だ。


 休日である。いや、昨日も土曜日で休日であったはずで、最早週休2日とはなんぞや、な生活である。


 火木土のイースト間引きは良いとしても、それ以外でどう休日を取るのかは課題かも知れない。休みの定義とか今の仕事の定義とかを考え始めるとドツボにハマりそうではあるが。


 ホテルの予約は明日朝までの予定で、明日午前中にネットで購入した布団などが新居に届く予定だ。


 明日からはススキノの新居での生活になる。


 シャンプーやバスタオルなど、細々とした物は百円ショップで買えばいいかと出掛けた俺は、何故かドーリにいた。


 途中で前にドーリで臨時パーティーで一緒になった連中と出会って、お誘いされたのだった。



豪震ごうしんはっす処に我はあり! 奈落貫く処に汝あり! でよ、黄泉の真槍! 土槍アースランス


 どこかのゲームのオープニングムービーで聞いたことのある様な詠唱で大蜘蛛を粉砕する。


「「ナイスでーす」」


「どうも」


 イマイチこのノリにはついて行けてないが、久々にMPポーションも買い込んだ事もあり、狩り自体はかなりの効率で進んだ。欲を言えば土系のMP節約杖も欲しい。


「そういえばさいとーさん。イーストのカオルさんから火精の杖求むってメッセージ着てたっすけど、さいとーさんの杖っすよね?」


「え? あっ、そうですね」


 どうやらあちこちにメッセージで聞き回ってくれていた様だ。


「友達が持ってたはずなんで聞いてみましょうか?」


「⋯⋯いいんですか?」


「多分、タダとはならないっすけど⋯⋯聞くだけ聞いてみますねー」


 そう言って、ニートな彼は打診のメッセージを送信してくれた。無料ではないとするとEPだろうか? それともリアルマネー?


 その後もしばらく大蜘蛛狩りをしているとニートな彼に返信があった様だ。


「1万EPでトレードか、界主討伐を手伝って欲しいそうっす」


 1万EPは流石に持ってない。とりあえずチームに相談すべきか。


「界主討伐は初級界で、水の中級魔法が使えるのが条件だそうで⋯⋯」


 水の中級魔法までをドーリで購入すると4万5千円コースか⋯⋯。イースト界を取り戻せば3万3千円で済むかもしれないのだ。その差額の1万2千円は小さくはない。


「ちょっとチームと相談してみていいですか?」


「もちろんっすよ」


 ルイさんから「昨日はごめんねー」メッセージが届いているのを横目にチーム同報メッセージで相談内容を送信する。

 ついでにルイさんのメッセージを確認したところ、特になにも触れられておらず記憶がなさそうな感じだ。まぁそんなもんだろう。そんなもんだ。


 早速マスターからは「高い。却下」とあり、ガイさんからは「水はイースト討伐でもアリだけど⋯⋯使う余裕ないしねぇ」とあった。他の面子からはまだ応答なし。


「ちょっと高くて手が届かないですね」


「うーん。やっぱりそうっすよねー。ちょっと吹っかけすぎだと思っす」


「聞いてくれたのにすいません。ありがとうございます」


「いえいえー。じゃお断りしておくっす」



 トレードも中々うまくいかない様だ。1万EPあれば杖買うよりもMP増やした方が得な気がする。


「ちなみになんですが、EPってリアルマネーで売ってたりしないんですかね?」


「売ってるっすよ。1EPあたり5円から10円くらいっすね相場」


 ⋯⋯1万EPは5万10万相当じゃねーか。高っ。しかし、やはり売ってるんだなぁ。あれ? じゃ自動でEPが入ってくる界の主って凄く儲かるんじゃ⋯⋯?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る