DEADZONE(デッドゾーン)

桜木花

第1話

 ここは、人と人ならざる者が共存する世界。

 人ならざる者は、使い魔と呼ばれ、人はその使い魔を使役し、共に暮らしていた。

 しかし、とある人物が生み出したどんな願いでも叶える万能アイテムである願い叶え機を手にいれるために人と使い魔同士で紛争を初めてしまった。

 これらの戦いは、使い魔戦争デッドバトルと呼ばれ、各地で甚大な爪痕を残すことになった。

 ある時を境に使い魔戦争が起きなくなったが、しかし願い叶え機が各地に飛び、その飛んだ地によって悪い影響を与えてしまった。

 その願い叶え機を壊すために聖杯観測隊は今日も戦う


 ここは、聖杯観測隊の本部。

 願い叶え機を壊すための組織であるが、活動規模的に大学のサークル活動に近い。

 本部の内部は変わった機械と怪しい本がたくさん並び異様な空間を作り出しているが、ちゃんとした生活道具もあり、生活感はかろうじて出している。

 そんな部屋で活動しているメンバーは、この聖杯観測隊のリーダーであり、メンバーの三輪リクと彼の使い魔である鬼の副長という異名を持つ土方歳三。

 聖杯観測隊の副リーダーの朝坂ハナはリクと聖杯観測隊ができてからいるメンバーで、彼女は使い魔である本多忠勝と共に最初期は彼女と忠勝だけで活動していたが、彼女の天然な性格もあいまって最近はリク先輩や俺達と行動することが多くなった。

 そして、聖杯観測隊に最近入ったのは、俺、津川アキラと俺の使い魔である悲劇の聖女の使い魔ジャンヌダルクことジャンヌである。

 俺が、聖杯観測隊に入った理由については、突然姿を消した父親の手掛かりを探すためである。

 なんでそんな理由で入ったというとここの今はいない所長さんが父親と知り合いだったというだけである。

 下らない理由で聖杯観測隊に入った俺を含めた三人の仕事は、各地に散らばる願い叶え機を探して、壊すことである。

 何故、願い叶え機を壊さないといけないというと願い叶え機が与える影響というのが在るべき歴史が必然的に変わってしまうためにそれを防ぐために壊すのである。

「三人共願い叶え機の手掛かりは見つかった?」と言いながらある人物が奥の部屋から出てきた。

 さっき部屋から出てきたのは、正確には人ではなくてジャンヌ達と同じ使い魔のダーウィンである。

 ダーウィンは、前の所長さんの置き土産らしくリク先輩がここに来た頃にはもう居たらしい。

 聖杯観測隊で一番の古株であるリク先輩でも何故ダーウィンがいることが説明できないらしい。

 ダーウィンと話をしていると突然部屋中に桁ましいサイレンが鳴り響いた。

 ダーウィンとリク先輩は咄嗟に部屋の中心にモニターを見た。

 俺は、ソファーで寝ているハナ先輩を起こし、リクとダーウィンが見ていたモニターの方を見てリク先輩に質問した。

「先輩どこに願い叶え機があったんですか?」

「えっーと西暦2005年の浪川町だね。」

「浪川町?」とリク先輩の言葉を聞いて俺は首を傾げた。

「第四次使い魔戦争が起きた町だよ。」とダーウィンが補足してくれた。

 それを聞いた俺はなんとなくわかった。ダーウィンの説明を聞いてリク先輩は浮かない顔をしていた。

 さっきダーウィンが言った第四次使い魔戦争

 は浪川町で勃発した使い魔戦争である。

 浪川町で起きたこの使い魔戦争は沢山の犠牲者を出したために『浪川町の悲劇』と呼ばれることになる。

 何故リク先輩が浮かない顔をしていた理由は、リク先輩が浪川町の悲劇の数少ない生存者であり、悲劇の光景を見ていたからである。

 そんな場所に行くのは、リク先輩にとっては何か因縁があるとしか思えなかった。

「さあさあ早く仕事をしようか三人共。」とダーウィンは俺達に浪川町に行くことを促した。

ダーウィンの言葉を聞き、リク先輩も決心がついたようだ。

「三人共準備は出来ている?」

「勿論です。」とリク先輩がさっきの浮かない顔から大きく変わり、キリッとした顔で言った。

「では、時間転送開始!いってらしゃい三人共。」

「行ってきます。」

俺達は、時間転送で浪川町へ向かった。

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