年長者の憂鬱
「あれ? 彰人さんそれ……スマホ、ですか?」
ある日、いきなり彰人さんがスマホデビューしてました。
魔法で大体のことを解決できるのにスマホなんて……と思うかもしれないが、通信手段とかもろもろでとっても役立つのだ!
で、昨日までガラケーだった彰人さんがスマホになってた。
「おー! いいだろ! これ!」
「あ、あれだろ? らくらくスマートフォンってやつ」
「そうだよそうだよ! アリアちゃんはよく知ってるなぁ。俺らみたいなじじいにはこれが丁度よくてなぁ」
「ふーん」
僕がなんとなく画面を覗きこんでいると、彰人さんが僕にスマホを差し出してきた。
「羽汰、」
「……はい?」
「セットアップってどうやるんだ?」
「そこから!?」
「いやー、電源を入れたはいいんだけどなぁ、文字が小さすぎて読めないっ!」
「らくらくスマホなのに!」
「頼む! やってくれ!」
「えー……」
「あとで飯おごってやるから、な?」
「じゃあ、はい。わかりました」
そして、僕は言語設定やらなんやらをこなして、どうにかこうにか使えるようにした。
「アカウントってガラケーのやつでとっちゃっていいですか?」
「あかうんと?」
「とっちゃいますね……はい、これで使えると思いますよ。手始めに、僕にメールしてみたらどうですか?」
「おお! ありがとうなぁ」
彰人さんは僕からスマホを受け取り、
「メールって、どれだ?」
「これです、この右のやつ」
「おお!」
そして、メール画面を開き、
「お前のメアド教えてくれるか?」
「yamagihara-uta@ueki.hachiですよ」
「えっと、やなぎはら……な、羽汰」
「はい?」
「文字、どう打つんだ?」
「ご飯にデザート追加でお願いします」
「はっはっは! 偉いなぁそういう流行りものをうまく使えてなぁ」
「彰人さん使えてませんよ!? あと、エヴァンさんこそまだ40代なんですから使えるようにしてください!」
「ん?」
スマホ講座は、終わりそうにありません。
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