顔合わせ

「え!? ぼ、僕主演ですか!?」



 驚く僕に、監督兼作者さんはうなずいた。



「そうそう、ウタくんにやってほしいなーって」


「あの……でもこの台本……」



 手元に視線を落とすと、そこには台本の表紙が。



『チート能力解放するにはヘタレを卒業しなきゃいけない


 登場人物

 ・主人公

 ・ヒロイン』



 まさかと思ってページをめくると……中は、真っ白だった。



「えー……」


「い、いや! これから考えるの! 面白いやつ!」


「ちなみに、ヒロインって?」


「あ、そうだ! 隣の部屋で話してるから、呼んでこようか?」


「あ、お願いします」



 作者さんが席をたち、部屋を出てしばらくすると、また扉が開いた。

 そこに立っていたのは、金髪に赤い瞳、白い肌、おまけに美人というその人だった。ただ、僕はその人と面識があった。



「アリアさん!?」


「お、なんだ。主演はお前だったのか。大抜擢というか、なんというか……。この台本じゃあ分からないがな」


「そういや、二人っておんなじとこの先輩後輩だっけ? じゃ、上手いことやっていけるかもね!」



 ……そんな、ノリで始まったドラマの撮影。あるのは不安と……不安と……不安。

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