第20話 依頼人への報告

「いらっ……あっ!ウェルおかえり!」


 月の光亭に戻ったウェルを出迎えたのは相変わらず忙しそうなジェシーだった。


「ただいま……ってあれ?今日はもう休みじゃなかったんだっけ?」


 朝の会話を思い出しウェルは首を傾げた。


「えへへ、昼間爆睡したらなんか目が覚めちゃってさー。忙しそうだったから手伝ってるんだ!」


「そうなんだ……でもあんま無理しない様にな」


 ありがとー、と笑っているジェシーを見て和んだウェルはお土産があるのを思い出した。


「そうだ!これクエストの余りもの。依頼分はギルドに納めてきたから」


 ウェルが袋いっぱいのキタムキダケを差し出すとジェシーの目が輝いた。


「ありがとー!明日朝一で取りに行くよ!これは使っていいのかな?ウェルのご飯に特別に出しとくね!」


 ピューンという音がしそうなくらいの勢いでジェシーは厨房に駆け込んで行く。ウェルは適当な空いてる席に腰掛けるとご飯が出てくるのをのんびり待つことにした。




「ふー、ごちそうさまでした」


 出てきたキノコ料理はどれも絶品でウェルは軽く2人前以上の量をぺろりと平らげてしまった。


「たくさん食べたねー!キノコ料理はどうだった?」


 食器を片しにきたジェシーに感想を求められるウェル。


「どれも美味しかったけど……ドレッシングのかかったソテーのやつ特に美味しかったな!」


「なるほどね……」


 貴重な感想をメモに取るジェシー。そんな彼女を仕事熱心だなーとウェルは改めて感心した。


「よしっと!クエストをやってくれた上に感想までくれてありがとね、ウェル!」


「こちらこそごちそうさま。親父さんにも伝えておいて」


 オッケー!と言い残しジェシーは仕事に戻っていった。眠気を感じたウェルは立ち上がると自室に向かおうとしたが、


「と、その前に歯を磨かないとな!」


 ふとララの怒る姿が目に浮かび洗面所に向かって行った。


 入念に歯を磨いた後、自室のベッドで寝転がったウェルは明日の予定を考える。


(明日は今日のことをアルフレッドさんかギルドリーダーに説明して……どうなるんだ?)


 説明するだけでその後何が起きるのか改めて考えると全く想像が出来ない。説明だけでいいのか、原因を究明するのかどうするのか考えていたウェルだが、


(まぁ……明日考えればいいか)


 いよいよ眠気により思考が停止してきたのを感じたウェルは、考えるのをやめて三大欲求の1つに身を任せると眠りについた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る