タレント
勝利だギューちゃん
第1話
無音というのが、耐えられない。
なので家にいる時は、音楽を流すか、テレビをつける。
特に觀たい番組はない。正直、何でもいい。
適当にリモコンを押して、割と面白そうなのを流す。
ドラマの再放送があったので、それを流すことにした、
もう、かなり前の作品だ。
学園ドラマだ。
時代を感じる。
役者さんも、かなり歳をとっているか、故人となっている。
いずれにせよ、テレビの中は僕とは無縁の別世界。
干渉はしない。
どこでも、そうだが厳しい世界だ。
よく芸能人の中で、「私は芸能界でないと生きていけないと思ったから」というタレントさんがいる。
「そんなに、居心地がいいのか?」
いつも、考えてしまう。
厳しい世界だと思うが・・・
「さてと、晩飯でも作るか」
僕は社会人で、1人暮らし。
自炊は大変と思っていたが、結構な、気分転換になる。
僕しか、食べる人はいないので、味はどうでもいい。
ピンポーン
玄関のベルが鳴った。
「誰だ?ご飯時に」
心の中で、文句をいいながらも、ドアを開ける。
何でこの時、インターホンで出なかったのかと悔いる。
「こんばんはー、突撃、となりの晩御飯です。
今夜のおかずは、なに?」
なんなんだ?
この人だかりは?
テレビカメラか?照明の人もいる。
「ご主人、奥さんいますか?」
ご主人とは、僕のことか?
「いません」
「お出かけですか?」
「僕、独身です」
「でも、いい匂いがします」
「僕が作りました」
「食べていいですか?」
何なんだ、この人。
有名なのか?
でも、見たことあるな・・・
ひょっとして・・・
「あのう、すいません」
押し入ってきた人に声をかける。
しかし、厚かましい人だな。
「失礼ですが、あの方ですか?」
僕は、再放送のドラマで、学生役を演じている人を指差す。
その人は、素に帰ったのか、驚いた。
「うわー、懐かしい。再放送やってたんだ。
若かったな・・・この頃は・・・
未来は希望に満ちていた。
ハリウッド進出を夢見ていた・・・それが・・・」
泣き出した。
一体どうした?
「あっ、これは失礼しました。ご馳走様でした。
早く、いい人見つけて下さい」
(余計なお世話だ)
あっさりと、引き上げていった。
なんなんだ?
いきなり静かになる。
テレビは別の番組になっていた・・・
翌日、出社すると、皆から言われた。
「テレビ、観たよ」と・・・
映ってたのか?
で、あのタレントさんは、誰?
タレント 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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