ミッドサマー・ウィンターガール
氷喰数舞
〇・序
俺の周りを五つの「何か」が囲っていた時期があった。
それはまさしく夏休みに起きた話であり、怒涛の夏休みでもあった。
「挙げていけばキリがない」という程でもない五つの要素。
挙げるのは確かに簡単だが説明が至極面倒な五つの事柄。
長編小説を一つ書けるくらいには複雑怪奇な五つの事情。
俺が出会った彼女こと忍逆深令個人の話が一つ。
俺こと真刈卓が住むマンション自体の話が一つ。
俺と忍逆が遭遇した超常現象に関する話が一つ。
俺の住むマンションで発生した殺人事件が一つ。
そして、俺個人の家庭事情についての話で一つ。
計五つ。計五話編成。
一話一冊で書いたって構わないけどそんな技量は無いから、時系列を優先して全要素混合で書く。
それをする前に、一つだけ説明をしておかなくてはならない。
俺が住んでいるマンションの説明だ。
あまり話に関係しないけど、何しろマンション自体が特殊なものに溢れすぎているから、何の脈絡もなくマンションのことを書けないのだ。無理矢理に書けば読者が混乱しかねない。
それを避けるための措置を最初にする。
ヒロイン登場は、もう少しあと。
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