第2話
この国には自由恋愛禁止法という法律が存在する。
僕らが生まれるずっと前、当時のこの国は性事情が乱れに乱れまくっていた。
年齢も性別も貴賎も関係なく、誰もが道徳心と倫理観を捨てて自らの性衝動に従って生きていたらしい。
そのおかげで少子化問題には縁遠かったが、性病や未成年の出産が深刻な社会問題になったという。
そんなある年の春、この国に新たな統治者が誕生した。
多くの国民と政治家たちに支持されたそいつは、手始めに乱れまくった性風俗を厳しく取り締まることにした。
社会科の教科書でしかその人物を知らない僕から見ても、それらの政策はまともだと思った。
実際に効果が出たので皆はさらに支持した。
その結果、その人は調子に乗り始め、人を愛するには資格が必要だと提言した。
そして自由恋愛禁止法という稀代の悪法が施行された数十年後の現代に僕はいる。
それも有刺鉄線の張り巡らされた監獄のような場所に。
そこは高校入学までに人を愛する資格を持たない者が入れられる矯正施設だ。
人を愛する資格なんてものは、簡単な筆記試験と形だけの面接を受けるだけで誰でも取得できる。
確か最年少取得者は六歳の女の子だと記憶している。
それだというのに、僕を含めて多くの者達が未だに資格を持っていない。
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