Letters from lover
@_mash_
第1話
――愛しのエリ
今日の夜が今から楽しみだよ。
19時に待ち合わせのレストランで。
じゃぁ、よろしく、
ユウジ
「よし、送信……っと。気合い入れて頑張らなくちゃな」
僕はそう言うと、トースターで焼かれた食パンを食べ始めた。
今日は金曜日。そして、エリと付き合い始めて2年きっかりが経った日。この日のために僕はとびきりのレストランを予約した。プロポーズの場所ランキング堂々のベスト1、結婚した先輩・同僚の話やインターネットでのリサーチも完璧だ。
昨日見た天気予報によると、今日の天気は晴れ。窓から覗く太陽の明るさでなんだか気分も晴れやかになる。
そろそろ会社に向かう時間かという頃に、メールの通知音が鳴った。
――ユウくん、
今日は大切な日なんだよね。
お仕事頑張ってね。
心から応援してるわ、
エリ
そう、今日は大切なプロポーズの日であり、大事なプレゼンの日でもある。
プロポーズのことは伝えてないけれど、やっぱり隠し切れないか。結構慎重に準備したつもりだったが、女性の勘ってのは僕が思っているより鋭いらしい。
そして、プレゼンは僕が企画した新製品の最終審査のためのものだ。社内の最終審査に残ったのは僕を含めて3人。社長も審査委員に加わるということもあって、今まで以上に案を練り、プレゼンの練習も充分すぎると思えるほどやってきた。
「そろそろ出る時間だ。一応確認しておくか、今日の天気は……っと」
『……本日の天気です。本日の東京は、日中晴天ですが夜はところにより……』
危ないところだった。雨が降る可能性もあるのか。家を出る前に気づいてよかった。普段だったら天気予報は前日にしか確認しないのに。今日の僕は冴えている、そんな気がした。僕は鞄に折り畳み傘を忍ばせ、家を出た。
「いってきます」
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