確定性インプロ
御子柴 流歌
『あくが・れる【憧れる】』
『あくが・れる【憧れる】』
国語辞典の1行のような文字列が脳裏によぎって、また視線が戻って行く。
胸を焦がす。思い焦がれる。
なるほど確かにそうだろう。
そしてその結果、今自分の手元にある台本にはあまり集中できていない。
まさに、物事に心が奪われ、上の空の状態なのかもしれない。
だけど、仕方がない。
と思いたい。
だって、憧れの人と、2人きりでいるのだから。
一目惚れ、だったのかどうかは、今はもうよくわかっていない。
演劇部の初顔合わせ、自己紹介での笑顔だったかもしれないし、舞台での立ち居振る舞いだったかもしれない。
小道具を作っていたときに手を切ってしまった際に触れた手の感触だったかもしれないし、偶然にも(全くもって幸運なことに)一緒になれた帰り道で見た頬の紅みだったかもしれない。
だが、いつどのように好きになりはじめたか、なんて些末なこと。
違うクラスになっていることが、果たして不幸なのかそうでなかったのかさえも、よくわからない。
とにかく、それほどまでに大きくなってしまった存在だった。
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