神様共が娯楽の最中
次、読みたい?
意識しかない存在たち。
遥か高次の存在たち。悠久の光年を越えて、地球に飛来せし、異邦人。否、異邦生命体。
彼らの意見は割れていた。
「やはり、人類に興味はない。人類など取るに足らない。詰まらない三文小説じゃないか」
「だが、ここまで我々は物語を読み進めた。それは事実だ」
「されど。されどなのだ。議論すべきは『面白いか』『面白くないか』の二つ。この二つこそが重要なのだ」
件の個体……自らを言世 ヒカリと個体名を持つ存在が言う。
「さあさあさあ! よもや、ここまで読んでおきながら、ここまで来ておきながら、先が気にならないなんて野暮は言いなさるなめされるな! え? 最後から見た? そんな野暮な……頭っから来て。頭から。なにせまだ、終わらないんだから!」
意識体の注目が彼女に集まる。
「当たり前じゃないか。莉雄たちのお話はまだ続くよ。莉雄が……ボクらが予期しなかった“第三のメッセンジャー”が、如何に人類を裁定するか、その答えがまだ示されてないじゃないか」
動揺、食傷、期待、断片的な注目。あるいは疲れ。
なれど、この話がまだ終わっていないというのは……事実だ。
彼らが『面白い』決断を下すか、否か……見なければ分からないのも事実。
ヒカリが言う。
「彼らをこれからは現実の、荒廃した世界が出迎えることでしょう! その時彼らが見るものは! ってね!」
「例えば、友情! 熱血! からの、決着!!」
「例えば、悲痛に悲劇に悲しさ滲み滲み……」
「シャワーシーンにオークションに……アイスクリームと珈琲……」
「……胸毛」
「そんな話、読みたいかい? じゃあ、待つしかないね。もし、話に興味がある者が居るなら……きっと……だからほらほら! 前向きな評価を投げてやってよ」
意識体は揉めた。
果たして、このまま話を進めるか、否か。
もとより、ヒカリの狙いは、人類の、この話の存続……
「どう? 次、読みたい?」
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