約束は永遠に

勝利だギューちゃん

第1話

人の記憶のストックには限界がある。

新しい事が記憶されると、古い記憶はところてんのように、押し出される。

その記憶のストックの量は、人により差がある。


しかし、押し出されるという点は同じ。

しかし希に、こびりついている事がある。


「ねえ、おおきくなったら、わたしとけっこんしよ」

「まださきだよ」

「いまのうちに、よやくしておいたほうがいいよ。わたし、もてるもん」

「じぶんでいう?」

「とにかく、たっくんは、わたしとけっこんするの、いい」

「うん」


無邪気な物だった。

幼稚園の頃の約束なんて、すぐに忘れてしまう。

僕もそうだった。


普通は、顔も名前も忘れてしまう。

そう、普通なら・・・


でも、それが別れる事なく、会っていれば、忘れようがないわけで・・・


僕は、大和拓真。

今年から高校生になる。


生まれてから一度も、引っ越しをしたことがない。

なので、住民は顔なじみ。

毎日会っているので、「大きくなったね」とかは、言われない。


幼稚園から高校まで、同じ顔ぶれも多いので、新鮮味がない。

まあ、家族同然なので、そこがいいところでもあるが・・・


なので、異性に対しても、兄弟姉妹のような感覚で、恋愛感情はない。

困ったものだ・・・


「たっくん、お早う」

「お早う、杏奈(あんな)ちゃん」

「今日から、高校生だね」

「ああ」

「私今日誕生日、16歳になったんだ」

「そうだったね。おめでとう。これあげる」

そう言って、ぬいぐるみを渡した。


「あっ、ミッ○ィのぬいぐるみだ。ありがとう、たっくん」

「いいえ。」

「高かった?」

「いや、クレーンゲームの景品だから、100円」

「せこい」

「ほっとけ」

「でも、嬉しい。覚えていてくれて」

毎年、催促しおいて、よく言うよ。


「知ってる?」

「何が?」

「女の子は、16歳から結婚できるんだよ」

「そうだったね」

「ねぇ、結婚しよ」

「誰と誰が?」

「私とたっくん」

「なぜ、そうなる」

「小さい頃約束したでしょ?結婚しようって」

覚えていましたか、杏奈さん。


「杏奈さん、忘れていませんか?」

「何が?」

「男18歳にならないと、結婚できません。」

「だから?」

「僕は、まだ15歳。3年待って下さい」

「うん、待ってる」


たまにのこる、記憶の残像。

それが、これだった・・・


本当に待っていてくれるかな。

後、3年。


女心は、変わりやすいからな・・・

油断は禁物。


そして3年後の僕の誕生日。


「たっくん、お誕生日おめでとう。18歳だね。結婚しよ」

第一声が、それですか・・・


でも、待っててくれたのは、嬉しい。

素直に・・・

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約束は永遠に 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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