第八章『ほっとけね』
パレット部員が三人になり、嬉しそうに帰る裕子。
裕子「はぁ……もうすぐ五人かぁ」
浮かれていたら、後ろから泥棒がやってきて、裕子の通学バックを奪われた!
裕子「あ! 私の通学バックを返してぇ!」
泥棒を追いかける裕子、しかし泥棒の逃げ足が速く中々追いつけない。
裕子「どうしよう、大事なものが入ってるのに」
諦めかけてたその時!
万紀「勝手に人の物を盗むんじゃねぇぞコラァ!」
万紀が泥棒にパンチをした、万紀のパンチの威力はいざましかっただろう……万紀のパンチで勢いよく飛ぶ泥棒、万紀はその隙に裕子の通学バックを奪った。
泥棒「っ! 何すんだ」
万紀「勝手に人の物を盗まねぇよな? あぁ?」
万紀の睨みに怯える泥棒。
泥棒「ひぃ! お……覚えてろよ!」
泥棒はそのまま走り去った、後からやってきた裕子は見たことがあると気づいた。
裕子「万紀さん?」
万紀「ほぅれ! 裕子の通学バックを奪い返したよ」
裕子「ありがとうございます!」
万紀「いいってことよ!」
万紀が裕子の通学バックを返し、そのまま一緒に帰った。
万紀「あんさ? 裕子。おまえん家に泊まっていいか?」
裕子「ちょっとお母さんに相談するね」
裕子は見つけた公衆電話で裕子の母と話す、その結果……
裕子「大丈夫だって」
万紀「本当か!? あんがとな!」
裕子「私の家一軒家だけど、部屋が余ってるから使っていいよ」
万紀「いや、そこは遠慮するぜ……裕子と一緒に寝てぇし」
裕子「うん、分かった」
裕子と万紀は裕子の家に着くまで一緒に行ったのだった……
しばらく裕子の家を辿り着いた、立派な一軒家だ。
万紀「つーことでお邪魔するぜ」
裕子「どうぞ、私、友達を家に招くなんて初めてだから」
万紀「マジかよ! 中学生の時の友達に招かなかったのか!」
裕子「友達の家が反対方向だったし、それに友達の両親が厳しいから招かなかった」
万紀「家庭の事情ってやつか、めんどくせーけど友達の家族の掟を破ったらさらにめんどくせーから仕方ねぇな」
と言ってるうちに二人は裕子の家の中に入ったのだった……
リビングに何故か万紀がキッチンに立ってる、どうやら万紀が料理をしてるようだ。
裕子「そんな……悪いよ万紀さん」
万紀「家に入れてもらったからせめて礼ぐらいしねぇとな、それになんでテーブルに夜ご飯ねぇんだ?」
裕子「私の両親は介護施設で働いてるんだけど夜遅くまで仕事をしてるの、私、料理出来ないし学校に行く道には八百屋さんと魚屋さんとお肉屋さんと卵屋さんと牛乳屋さんしかないからお惣菜とかお弁当は売ってないの、しかもスーパーは遠いし……」
万紀「それで夜ご飯がねぇんだな、裕子の両親大変だな……ってことはいつも夜食わねぇで寝てる訳?」
裕子「はい」
万紀「普通は不健康だそ、仕方ねぇやつだな」
万紀は照れながら調理を進めてく、しばらくすると生姜焼き定食が出来上がった。
裕子「え! すごく美味しそう!」
万紀「だろ? 小せぇ時に家庭料理を覚えたんだ、冷めないうちに食うぞ!」
裕子.万紀「いただきます!」
裕子と万紀は食事をした。裕子は気になったのか、万紀に質問した。
裕子「あの、万紀さんの家族って……」
万紀「あぁ、いるけどよあたしは一人っ子だ、あたしの両親とは訳あって絶縁状態になってる、おかげで自分家に居づらくてさ、今までずっと野宿してたんだ」
裕子「え! 雨の日は大丈夫だったんですか!?」
万紀「大丈夫じゃねぇよ、おかげで風邪をひきまくったし大変だったぜ」
裕子「結構大変だったんですね、私も一人っ子でいつも寂しい思いをしてるばかりでした、でも仕方なくてずっと色の本を読んでました」
万紀「ほぅ?どんな本だ?」
裕子「簡単に言うと色について書いてある本なんです、夢中になりすぎて夜になることもありました」
万紀「いやいや、夢中になりすぎだろ……」
たわいのない会話が食事が終わるまでずっと続いたのであった……
裕子の部屋、雲のグッズが多い部屋で可愛らしい。万紀は寝る前に質問した。
万紀「なぁ、裕子、パレット部について知りたい」
裕子「パレット部ですか?」
万紀「あぁ…楽しそうだったからさ」
裕子「パレット部はボランティア活動を中心にやって、絵を描いたり、色の事について調べたりするの」
万紀「ほぉ……部員がまだ集まってねぇの?」
裕子「苦戦してますけど増えると楽しいです」
裕子の笑顔に惚れてしまった万紀は
万紀「入っていいか? パレット部ってやつ」
裕子「え! 入ってくれるんですか?」
万紀「あぁ、あいつとの約束があるから部活っていうもん、味わってもらいたいぜ、それに裕子、あの部活にはほっとけねぇよ」
裕子「ありがとうございます! 万紀さん!」
万紀「あたしのことは万紀でいいよ」
裕子「はい! 万紀!」
万紀がパレット部を入ってくれる事が嬉しかった裕子、二人は電気を消して、そのまま眠ったのだった……
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