第六章『史と映美』
放課後になるとそろそろ他の部活が始まる頃だ、生徒の一生懸命な姿や大きな声で外に響き渡る、そんな中、裕子はパレット部の活動場所について聞いていた。
裕子「映美先生、パレット部の活動場所はどこにしましょうか?」
映美「そうだな、五人集まってないから始まらないが、空き教室がある、そこを使おう」
そう言われた裕子は映美先生と共に空き教室に向かった。
空き教室に向かう間、裕子と映美は少しお喋りをした。
映美「そういえば部員を集めたのか?」
裕子「はい、一人ですけど……」
映美「おぉ! 大したものじゃないか!」
裕子「いや……そんなことないです」
たわいのない会話が続いていると空き教室をついた。中に入ってみると机と椅子が片付けられていて埃だらけだ。
映美「はぁ……最近使ってないから埃だらけだな、裕子、まずは掃除だ」
裕子「はい、分かりました」
こうして裕子と映美は空き教室の掃除を始めたのだった……
空き教室の掃除中、裕子は思いついたことを言った。
裕子「映美先生、私思いつきなんですけど、パレット部室にしませんか?」
映美「私もそのつもりでいた、いいじゃないか?」
裕子「ありがとうございます!」
そこで会話は途切れ、空き教室の掃除に戻ったのであった……
約一時間後、パレット部室が綺麗になった、机と椅子を運んで、使ってないホワイトボードも綺麗にして、やっと部活という感じに仕上がった。
裕子「やっと綺麗になった!」
映美「よく自分から進んでやるな」
裕子「いや……そんな事ないです」
映美「掃除だけでこんだけ時間かかるとはな……」
パレット部室の窓から見るとすっかり夕方になっていた。
裕子「せっかく掃除したのにこんな時間!?」
映美「残念だが、続きは明日に持ち越そう」
裕子「はーい……」
裕子は寂しそうにパレット部室を後にし帰っていったのであった……
翌日の放課後、裕子は史にパレット部室について案内して、中に入っていった。
史「随分掃除したね」
裕子「はい! 昨日は映美先生と一緒に掃除しましたから!」
史「おかげで部活をやりやすい環境になったね、後、掃除手伝えなくてごめんね」
裕子「仕方ないですよ、急な用事でしたから……」
とたわいのない会話をしていると映美先生が後からパレット部室にやってきた。
映美「お? 新しい部員……」
映美先生は何かが気づいた。
映美「史!?なんでお前がパレット部に入ってるんだ!?」
史「いいじゃん、私がパレット部を気に入ったから入部しただけ」
焦る映美に冷静に答える史、何があったのか、裕子は二人に問いかける。
裕子「どういうことですか?」
史「あっ、そっか、裕子は知らないか」
映美「そのようだな」
史.映美「私達従姉妹同士なの」
裕子「えぇえぇぇぇ!」
二人の突然の発言に驚く裕子。
裕子「知らなかったです……」
映美「急に弱気になるなよ」
史「今初めて知ったから戸惑うのも無理もないよ」
史の言う通りだ、確かに今初めて知ったから戸惑うのも当然の事。
裕子「ってこれからどうするんですか?」
史「何言ってるの? どうやって部員を集めるか話し合うでしょ? 映美姉」
映美「そうだな、そのつもりでいた、これから話し合おう」
こうしてパレット部の話し合いが始まった。
映美「裕子、部員集めはどう行った?」
裕子「えっと……学校の玄関付近で看板を持って朝から声をかけてみましたが、中々集まって貰えませんでした、昨日はお昼も声をかけようとしましたが、史先輩との約束で声をかけませんでしたが、その代わりに史先輩がパレット部に入ってくれました、今日は朝、昼も呼びかけてみましたが、変わらずでした」
史「私も今日から参加したけど中々来ないね」
映美「一つ気になったことがあるんだが……」
映美は史に向けて深刻そうな顔で
映美「史、今まで部活に入ってなかったじゃないか!? どうしてこの部活に入ったんだ!?」
史「確かに部活は入ってなかった、それは興味を持ってないから、でもパレット部は興味を持ったから入った、それだけ」
映美「……分かった、でもパレット部に興味を持ってくれたのは嬉しい」
映美先生はホッとしたようだ、なぜなら、クールな史に普通な裕子、こんな生徒に囲まれて幸せに感じたからだろう。
映美「裕子、史、明日からでも部員集めに頑張ってくれ」
裕子.史「はい、分かりました」
こうしてパレット部の最初の会議を終わったのだった……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます