パピ、もうひとつの世界

勝利だギューちゃん

第1話

僕には、不思議な友達がいる。

イマジナリーフレンドではない。

れっきとした、形のある存在。


でも、人間ではない。また、動物でも植物でもない。

そう・・・妖精・・・

彼女は、妖精・・・


その名を、パピ。


彼女とは、僕がまだ小さい頃、お花畑で知り合った。

当時、友達のいなかった僕に出来た、初めてのお友達。


以来、今でもよく、遊びに来る。

彼女との一時は、とても有意義だ。


蝶なのに、体は30センチほどある。

なので、かなり体重もあると思うが、さすがは蝶・・・

ひらひらと飛べる。


その体重は、おおよそ20キ・・・

「そこから先、言ったら怒るよ」

噂をすれば、何とやら・・・


「うわっ、パピ、いつの間に?」

「たく、人がいないのを、いい事に・・・」

「いや、これは・・・」

「女の子の体重を、ばらすのは失礼よ」

「まだ、気にする歳じゃないだろ?」

「こう見えても、あなたより年上よ」

あまり、変わらないのだが・・・


「身長が30センチなら、十分スレンダーだろ?」

「人間と、同じにしないで」

こうして、喧嘩口調で話せるのも、パピだけだ。

ありがたい・・・


「ねえ、決心はついた?」

パピが真面目な顔になる。


「ああ、ついたよ」

「で、答えは?」

僕は、頷く。


「YESだ」

「未練はない?」

「うん」

「じゃあ、行こうか」

パピの手を握る。


「あっ、パピ、少し待って」

「どうしての?忘れ物?」

「うん」

僕は机の引き出しを開ける。

その中から、小さな指輪を取りだす。


花で作った、小さな指輪。


「はい、パピ」

「ありがとう。」

「返事は?」

「よろしくお願いします。旦那様」


こうして、僕の魂は、体を離れた。


この先どうなるかは、わからない。

でも・・・


パピがいれば、それでいい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

パピ、もうひとつの世界 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る