デミヒューマンズシティ・プラスワン

阿尾鈴悟

ビフォアー・プロローグ 1

 はい? すいませんが、急いでるので……

 ……は? 異世界?

 ああ、異世界ね。知ってますよ? じゃあ、次は『世界について教えて』とかですか?

 ……本気で言ってます?

 はあ……。それなら良いですけど……


 とりあえず、どこか入りませんか? 立ち話は嫌なんです。

 例えば、あそことか。もちろん、あなたの支払いで。




 ……それで、この世界はあまりに大きいわけですよ。全て話すには時間が掛かりすぎます。

 僕もそこまで時間を取れませんので、具体的に何が知りたいんですか?

 分かりやすく言うならば、あなたの世界とこの世界は、何が違うのでしょう?


 ……人?

 人って、人ですよね? そんなに違いますか?

 へえ。つまり極端に言ってしまえば、オスとメスのあなたが何人もいらっしゃると。

 え? 他には? それだけ?

 ……あれ? そうすると、人は人であって、生物学的には一種類しかいないってことですか?

 はは! それは確かに違いますね。


 この世界でいう人というのは、四種……、いえ、三種類の生物を総称して指します。

 具体的には、妖精種と半獣種、それから有角種と呼ばれる同属別種の生物です。

 例えるなら、鳥という概念はあるけど、鳥という生物はいないみたいな感じですかね。何の種類か分からないから鳥と呼ぶみたいな。


 特徴?

 まあ、そうですね。それくらいなら良いでしょう。

 それじゃあ、一つずつ、話しましょうか。

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