第48話、スマホが先か、異世界転生が先か。

 ──現代日本の推定三千万人の、異世界転生希望の、ヒキオタニートのお兄ちゃんたち、こんばんは☆


 実は『ツンデレ気味の妹(しかも幼女)』という、あざといキャラ付けでお馴染みの、『転生法』だよ♡


 すでにご存じのように、前回から実験的に『質問形式』で進行していくことにしたんだけど、早速前回のQ&Aの結論である、『オタクである日本人こそ、異世界に真の発展をもたらすことができるのだ!』に対して、更なる『疑問の声』をお寄せいただいているので、今回も引き続いてこの件に関して掘り下げていくことにするね♡



Q、そもそも異世界にスマホが存在しており、異世界人がちゃんと使いこなしているとしたら、わざわざ新たに異世界転生を促して、現代日本における最新の科学技術等を伝授されなくてもいいのではないでしょうか?


 それと申しますのも、前回においては異世界において広く本を普及させるためには、単に製本技術や活版印刷技術をそれぞれ専門的にマスターしているだけでは、本の製作から流通に至るまでの全般的な流れをまかなうには、いくら『専門家』を異世界転移させても間に合わないけれど、『某作品』のように、『本好きの図書館司書やアラサーOL』等の、いわゆる『本オタク』の転生者であれば、オタクならではに無駄に知識欲が旺盛だから、書籍の執筆に始まり校正や編集、印刷から製本、そして流通に至るまで、それぞれの分野における専門家並みの知識を総花的に熟知しているので、『本オタク』が一人いれば、異世界に広く本を普及させることも不可能では無いと述べておられましたが、それって、異世界人がスマートフォン等を使えば、十分事足りることでは無いでしょうか?


 何せすでに御作の第31話において、異世界にスマホが存在し、現代日本のインターネットと接続できることは、『転生法』においてもむしろ推奨するところであるとのことでしたしね。



A、むしろ異世界においてスマホを真に理想的に活用していくためにこそ、異世界転生を促進する意義があるのよ♡


 これまた、前回に引き続いて、いい質問ね!


 確かにスマホを効果的に使いこなせば、『知識の活用』という意味においては、たとえ一人でも異世界全体に多大なる貢献を成し得る可能性があるわ!


 ──いやむしろ、いくら各専門分野において、『オタク』と呼び得るほど、雑多な知識に長けていようとも、むしろそれを完璧に補完し、あまつさえ最大限に有効利用するためにも、スマホの存在は欠かせないでしょう。


 ていうか、現代日本でもそうだけど、もはやスマホは、オタクにとっての『必需品』と言っても、過言じゃ無いよね!


 ……前から不思議に思っていたのよねえ、現代日本からの転生者で、『NAISEI』チートをやる人や、火縄銃のような原始的な火器どころか現代兵器を平気に創り出す人や、乙女ゲームの知識を攻略本や裏設定まですべて把握している人とかって、いくらその方面のオタクだからって、そんな専門的知識を何から何まで細かいところも全部覚えていることなんて、どう考えてもあり得ないでしょう? あまりにも御都合主義過ぎるのよ!


 もしかして、この手の作品の作者の皆さんって、自分でちゃんと(主に転生者である主人公の)設定を考えないで、他の作品の受け売りをしているだけじゃないのお? 少しでも主人公の身になって考えれば、わかると思うんだけど、ただのちっぽけな人間ごときが、スマホどころか何の文献もない世界において、現代日本の知識を完璧に覚えていて、常に適切に活用したりできるわけないでしょうが⁉


 今現在、貴女のすぐ目の前に、スマホとかパソコンとかがあるから、実感が湧かないと思うけど、実際にそんなものがまったく存在しない異世界に転生した段になって、現代日本における各分野の知識を正確に活用しようとしても、そんなこと絶対不可能なのを思い知って、スマホやパソコンのありがたさを、改めて噛みしめることになるだけでしょうね。


 つまり現在ネット上に存在している、『NAISEI』チートモノや、現代兵器無双モノや、乙女ゲーム転生モノなんかにおいては、スマホこそが必需品とも言えるのであり、むしろのスマホ等の情報ガジェットの補助無しには、けして為し得ないとも断言できるわ。



 それでは、ただ単に異世界において、現代日本と同レベルにまで、スマホを普及させればただそれだけで、すべてが事足りるかと言えば、さにあらず。


 実はここでこそ、自分の興味がある専門分野においてなら、異常なる博識ぶりを誇る、オタクの皆さんの出番となるわけなの。



 それというのも、異世界にスマホを普及させようと思っても、まず土台となるのがいわゆる『中世ヨーロッパ』的な文化レベルでしかないことを考慮すれば、一朝一夕に全世界的に受け容れられるはずが無く、最初は大都市の王侯貴族や資産家等のハイレベルな知識層に限定的に受け容れられるにとどまると思うの。


 しかもその人たちにしても、現代日本発の未知の情報を面白がって享受するだけで、自ら能動的に知識を集めようとも、受け取った情報を有効に活用しようともしないと思われるわ。


 つまり、『情報』というものは、それを真に必要としている者以外にとっては、まさしく『無用の長物』であり、『猫に小判』そのものでしかないのよ。



 だからこそ、更なる異世界転生の促進により、現代日本人が──つまりは『オタク』の皆さんが、どんどんと新たに異世界の人々に転生していく必要があるわけなのよ。



 結局スマホを通じて、オタクのための知識の宝庫である『インターネット』を使いこなすことができるのは、現代日本のオタクだけであり、純真無垢で素朴なファンタジー異世界人の皆さんに、オタク並みにスマホを活用させるための『裏技』こそが、現代日本からのオタクの皆さんによる異世界転生ということなの。


 ……何かこうなると、『オタクの皆さんの異世界転生』が先か、『異世界でのスマホの普及』が先か、『卵と鶏理論』そのまんまになってしまうけど、とにかく現代日本からの転生者による『NAISEI』チートや現代兵器無双や乙女ゲーム転生には、スマホこそが必需品だし、そしてまさにそのスマホを最大限に活用するには、現代日本のオタクの皆さんの更なる異世界への転生が、必要不可欠になってくるというわけなのよ♡

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