転生法
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第1話、始めに。
──転生法。
それは、今や混沌極まる異世界に秩序をもたらす、『福音』なのか?
それとも、更なる混乱をもたらす、『邪法』なのか?
全異世界統一暦、『
無数に存在している、いわゆる『異世界』においては、度重なる現代日本からの異世界転生や異世界転移によって、文字通り規格外のチート能力を持った、『勇者』や『大賢者』や『魔道士』や『魔王』や『悪役令嬢』や『おっさん』その他の、『カクヨム』や『小説家になろう』等の小説創作サイトでお馴染みの、『主人公』キャラが数え切れないほど大勢、転生あるいは転移してきたために、社会秩序は乱れに乱れ、特に魔物等における生態系は破壊され、大都市や場合によっては国家そのものが滅亡するなどといった、深刻な状況に追い込まれていた。
……そりゃそうだ。各Web小説のチート主人公どもときたら、どいつもこいつもやり過ぎだろうが?
そこですべての異世界から代表者が集って、『第1回全異世界協議会』が開かれ、いろいろな大人の事情で、異世界転生や異世界転移そのものを禁止できないのならば、せめて一定の秩序の下に行われるように、今回新たに『転生法』と名付けられた、統一ルールを取り決めることと相成ったのである。
これで万事丸く収まったかというと、さにあらず。
──むしろ、更なる動乱を呼ぶこととなり、全異世界は未曾有の危機に立たされたのだ。
それというのも何と、転生法を設定した為政者側ときたら、現代日本からの転生者や転移者を規制もしくは抑制するどころか、むしろ転生や転移を促進する方向でとりまとめて、多くの異世界市民の反対の声を押し切って強行採決するとともに、即行で公布してしまったのである。
そこには、魔族や魔物等の為政者にとっての敵対勢力の討伐の戦力を始め、低賃金労働者の確保や、全然必要の無い全異世界の統一首都である『
そりゃあ、やる必要も無いオリンピックを開催すれば、特に
しかし言うまでもなく、『異世界人にとっては異世界人である』現代日本人を、無分別に受け入れれば、それだけ公共の秩序が乱れ、犯罪の多発化を招き、しかも転生者ならではの『チート能力』を行使しての破壊活動や、『NAISEI』による政治社会システムの混乱等、異世界転生ならではの深刻な問題も起きかねないのだ。
よって当然のごとく市民活動家等を中心として、『転生法並びにオリンピック開催絶対反対』の声が上がったものの、為政者側は企業体の後押しにより強硬な手段に出て、軍隊やそれこそ転生者である勇者等のチートな暴力装置まで出動させて、徹底的に弾圧してしまったのである。
しかし各異世界においては『転生法』に対する反対の声は根強く、中には国家並みの権力や財力や軍事力を持った組織体も存在し、為政者側と激しく争っていき、今やすべての異世界はこれらの二大勢力による、対立構造が浮き彫りとなってしまっていた。
──そうこれは、『転生法』を巡る、異世界における、現代日本からの転生者をも含めた、各種勢力間の、己の正義をかけた闘争の物語なのである。
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