1-4-6 『MUL.APIN』 その1



 香椎さんの運転するバンに揺られて、俺達は麻薬カルテルのアジトを目指した。

 助手席で道案内する千覚原さんと違って後部座席に乗り込んだ俺は、六道さんから銃の扱いについて御教示いただいた。それこそ、初歩の初歩から。

 その全てを理解した訳ではないが、取り敢えずと思い、教わった手順で銃弾の装填を試みる。

 まずは、回転弾倉のすぐ後ろにボコッと付いているシリンダーラッチと呼ばれるパーツを押す。すると弾倉のロックが外れ、左に振り出せるようになる。振り出したら、次は弾倉の前方に突き出るエジェクターロッドを手前側に押す。この操作で空薬莢が排出される仕組みだ。そして、空になった弾倉にスピードローダー――あらかじめ、弾を纏めて保持しておく器具――を差し込み、そのロックを解除する。後は弾倉を戻せば……装填完了。

 この『スピードローダー』というのが実に素晴らしい発明品で、正に文明の利器、面倒な装填をかなり簡便化してくれている。そのお陰もあってか、二、三回も教わった動作を繰り返すと、揺れる車内に於いても手付きに淀みはなくなり、漠然と抱いていた不安は霧散した。隣で見ていた六道さんも太鼓判を押す上達振りである。

 その時、運転席から声が響いた。


「四藏くん、カッコいいねー。昔、私も申請したんだけど、案の定ダメ」


 時間が経って少し調子が出てきた香椎さんは、バックミラーでも見たのか、ハンドルを指先でトントンと叩きながら口をとがらせた。しかし「ダメ」な理由に自分で思い当たる節があるらしい。

 そりゃそうだろう。薬物で去勢してるらしいが、一体何処から湧いているのだ? その欲は。

 苦笑いで適当に返しながら、一旦、拳銃を脇に置いてスピードローダーに弾丸をハメ直していると、六道さんが拳銃を持ち上げて眼前に掲げた。


「銃の説明に戻る。リボルバーに安全装置セーフティはない。厳密に言えばあるけど、基本は無いという事になっている。だから、ここの引き金を引けば弾は出る」

「へぇ~」

「見て」


 六道さんは、拳銃の引き金の後ろに噛まされていた黒いゴムを取り除いた。


「このゴムは日本特有の暴発対策。物理的に引き金を引かないようにしてる。緊急時には不要だから、もってて」


 なくさないで、と既視感のある動作で、俺の手中に黒いゴムを押し込む六道さん。確かに、平和な日本でそんな物を失くしたら事なので、俺は注意深くポケットの奥深くへゴムを仕舞った。

 その後も、技術以外に凶器を持つ者としての心構えなどを一通り教示された。その滔々とした語り口調に、六道鴉りくどう あという少女は、これ程までに多弁な面を持っていたのかとちょっとばかし驚嘆した。

 射撃姿勢や狙いの付け方、銃口を覗き込むな、人に向けるな……といった基本的な部分を終え、今回支給された弾薬が『フランジブル弾』という特別なものであるという話題に差し掛かった所で目的地に着いた。


「講義はここまで」


 そう言って、六道さんは自分の装備を点検し始めた。


「え、まだ、途中じゃ……俺、あんまり詳しくなった気がしませんけど……大丈夫ですかね?」


 もう少し知識を蓄えておきたかったのだが、その懸念は「初心者は練習も無しに当てられないから、脅しと牽制に使って」とざっくり切り捨てられた。

 ……ま、それもそうだな! と、俺は素直に納得して引き下がった。

 路肩にゆるゆるとバンを止めた香椎さんは、右方に聳える大きな工場を眺めながら助手席の千覚原さんに問う。


「この工場だよね?」

「う、うん……間違いない、と思う。他にそれっぽいのは地図にも、周りにもないし……」


 千覚原さんの言葉を受けて顔を見合わせた俺達は、示し合わせた様に頷いて骨伝導ヘッドセットを耳元に掛けた。

 これが天海の残していった贈り物。そのみてくれは、眼鏡のツルからレンズを取り除いた様なU字で、眼鏡でいう前面が後頭部に来るように装着する。

 まるで羽のような付け心地。アメリカ政府の肝いりで設計されただけはある。右側のボタンを押すだけで通話開始、左で終了という簡単操作も俺に嬉しい。骨伝導は静音性に優れているので、こういった任務には最適であるし。「あー、あー」と通話の具合を確認した俺達は、そそくさとバンのエンジンを切って工場に向かった。

 最先鋒を務めるのは、レーダーっぽい真似事もできる千覚原さん。

 その、おそるおそるといった足取りが工場の古びた門構えにまで至った時、不意に停止した。何事かと警戒を強めていると、彼女は地にしゃがみ込んで手を当て始めた。


「二人……いや……三人? うーん……」

「分かるんですか?」

「直近に通った幾つかの残留思念があるのは確実なんだけど……うーん……これは悲嘆、憤怒と……期待? すごく大きな期待と……何なんだろう。期待の感情があまりにも大きすぎて、他の感情が上手く読み取れない……けど、多分、工場に居るのは二、三人……かなぁ……」


 手元の資料を見る。麻薬カルテル『MUL.APIN』に所属している能力者ジェネレイターは全部で六名。その内、伊秩半七はセーフハウスに拘束しているので、残りの五名という事になるが、能力が割れているのは井手下椛いでした もみじという女子生徒だけだ。彼女の異能は何らかの方法で《薬を精製できる》能力の様で、海外からの輸入が断たれた今、残った在庫と能力製の薬だけを売っていると聞く。だが、他の能力者に対しては「得体が知れない」という評価しか、伊秩からは出てこなかった。

 とにかく、その得体の知れない能力者が二、三人ほど、この先に待ち構えているのは間違いない様だ。

 暫くの間、千覚原さんはそうして蹲っていたのだが、やがて、不安そうな顔でこっちを振り向いた。


「ほ、本当に居るよぅ……ど、どうするぅ……?」

「え? 『どうする』って行くしかないでしょ。ハイ、立って!」


 ぐずる幼子の様な千覚原さんを、香椎さんが無理やりに立たせる。そして、前方に押し出した。それでも、なお煮え切らない態度を取り続けるので、堪らず俺も声を掛ける。


「どうにか、お願いできませんか? 戦えとまでは言いませんから、罠を調べるとか、案内ぐらいは」

「え……ま、匡人くんがそう言うなら……が、頑張ってみる……」


 何故「俺が言うなら」なのかは考える必要性を全く感じないが、とにかく、心を決めたらしい千覚原さんが歩みを再開する。追って、俺たちもそれに続いた。

 工場に近づくにつれ、入口らしきドアが正面にひとつ見えて来た。千覚原さんはそのドアノブを迷わず握る。すると、ドアは音も無く開いた。施錠はされていなかったらしい。

 ……誰かが出入りした時にウッカリ開けっ放しにしたのだろうか? いや、アジトの鍵だぞ。麻薬カルテルの。そんな鍵をこの状況で?

 思わず、右を振り向くと、俺の視線は香椎さんのそれと交錯した。しかし、先頭の千覚原さんはというと疑問など欠片も呈さずにズンズンと進んでゆく。……恐らくだが、彼女にはある程度の事情が分かっているのだろう。「うーん、うーん」と集中しているようだから、それを乱すような事は心中に留めておく事にした。勿論、意味はないかもしれないが、気遣いぐらいは伝わるだろう。

 薄暗い工場内に踏み入ると俺達は水を打ったような静寂に包まれた。照明が、通路の上にだけ点灯している。最低限、そうでないと彼らの方が移動に困るからだろう。

 前後左右の暗闇の中には、名前もわからない大きな産業機械が所狭しと並んでいる。その合間を千覚原さんは不用意にも思える大胆な歩調で突き進んでゆく。

 その果て、奥まった場所にひとつのドアへと辿り着いた。これにも又、施錠はなく、それどころか「どうぞ」とでも言わんばかりに開け放たれていた。その先には、秘匿されし気配の階段が覗える。地下へ続いているのだろう。

 俺は「罠」を疑ったが、ドア、ドアノブ、周囲の壁、床に触れた千覚原さんによると、どうもそうではないらしい。


「罠とか、そういう作為じみた気配はない……。それと、やっぱり下には二人か三人が居る……かなぁ……?」


 こういう場面だと千覚原さんは本当に頼もしいな。敵地に侵入する立場でありながら先手を取られないというのは、とんでもないアドバンテージである。調査面でも頼り切りだった事もあり、自然と気合が入る。

 そんな、前のめりになりかけて来たあった気持ちを唐突に削いで来たのは、さっきから黙っていた六道さんだった。


「なら、私はここで待機する」


 ここに来て、六道さんが千覚原さんの様な事を言うとは思いもよらなかった。怖気づいての言葉かもしれないし、考えがあっての言葉かもしれないが、どちらなのかは表情からは窺い知れない。

 千覚原さんは不安そうに狼狽え、香椎さんも面食らっている様に見える。

 戸惑っているばかりでも仕方がないので、俺が代表して尋ねる事にした。


「……それは、どうしてです?」

「背後を取られないようにしないと。それに――」


 言いながら、六道さんは懐からサバイバルナイフと例のUSP45を取り出して構えた。


「遅滞戦闘なら私が向いてる」

「……確かに、そうだね」


 香椎さんが同意を示す。千覚原さんと共に胡乱な視線を向けると、彼は「まあ、聞いてよ」と弁解した。


「能力者は全部で六人でしょ? それで一人捕まえて五人。下に二、三人なら、残りの二、三人は? つまり『後から来るかもしれない』って、六道くんは言いたいんでしょ。確か寧々ネネくんはΒベルカンだったよね。地下に潜ったら地上まで感知できる? 気づいたら挟まれてた! なんて事はゴメンだよ」


 香椎さんは、その意見に絶対の自信を持っているらしく、力強く言い切った。

 理は有るように思える。様々な観点から思考を巡らせてみたが、特に反論も思いつかなかったので、俺は素直に理解を示した。


「間違った意見じゃないと思います。けれど、俺の賛否を示す前に千覚原さんの意見も聞いて置きたいです。彼女が、俺達の生命線ですから」

「匡人くん……」

「俺は千覚原さんが自信を持って『下に二、三人居る』と言うなら、その選択でも良いと思います」


 急に矛先を向けられた千覚原さんは、暫くまごまごとしていたが、やがて、ポツポツと話し始めた。


「直近以外の痕跡はちょっと薄れてて、感情の色合しか分からないけど……中に入っていった痕跡は二、三人、出ていった痕跡も同じぐらいの数。それで、間違いはない……と思う」

「……なら、それで行きましょう!」


 善は急げ、と縮こまる千覚原さんの肩を抱いて、身体を階段に向けさせた。千覚原さんは「わ、わ、わ」と謎のリズムを口ずさみながらされるがままだ。

 そうやって、共に階段を降り始めながら、俺は後ろを振り向く。追随してくる香椎さんの後ろで、六道さんが口パクで「はやくいって」と伝えてきた。最悪の場合、六道さんは一人で二、三人と戦う事になるというのに、切り抜けるだけの自信と、香椎さんからの確固たる信頼があるらしい。

 そこまで言うなら任せるぞ、いいんだな? という念押しの視線を六道さんに送るが、それも適当にいなされた。

 そのまま、俺たち三人は、地下の暗がりへと静かに踏み入った。



    *



「こちら六道鴉りくどう あ、接敵した。これより戦闘に入る」

「――え? 六道さん、もうですか!?」


 別れから僅か数十秒、匡人の驚愕を骨へ伝えるヘッドセットは、ブツッ――という音と共に動作を打ち切られ、風の向くまま気の向くまま遠方へ投げ棄てられた。

 悠然と佇立する六道は、自然な動作で工場内の薄暗闇を隈なく見廻した。


「どうして、止めなかったの?」


 誰にともなく発せられた平坦な声が静寂に反響する。その声が消え入るのに合わせて、遥か頭上のLED照明群が次々に点灯し、周囲の闇を取り払った。

 コツコツ、と革靴と工場の塗床の接触音が響く。


「『来たら止めろ』とは言われているが、あんな大人数を受け持ってやる義理はない。お前が残って相手を申し出てくれたのは助かったよ。一人だけでも倒しておけば、俺に科せられた『用心棒』としての面目も保たれよう……」


 産業機械の合間より六道に負けず劣らずの平坦な声を発したのは、制服姿の陣場弘昌じんば まさひろだった。

 彼我、十間。

 陣場は十分な余裕を保って立ち止まった。

 互いが互いを見留めた。であれば、ゴングは既に鳴っているも同義である。

 先に、六道が仕掛けた。最小限の予備動作で振り上げられた両の空手くうしゅが前方に突き出た。“空手”というからには、当然、その手中には何も収められておらず、掴んでいるのは空である。それでも、六道は恰も『銃』が収まっているかの様に空を握り締め、そして引き金らしきを引き絞った。

 その動作は、“パントマイム”というよりも、童子がフザけて銃を“撃つ真似”をする様に似て、些か真剣味に欠けるものであった。

 しかしながら、直後に響き渡った減音器サプレッサー越しのくぐもった銃声は、その全てに宗教儀式めいた絶対不可侵の色をつける。けして笑うこと罷り成らぬ.45口径の弾丸群が、肉眼では捉えきれぬ亜音速を以て陣場に襲いかかった。

 命中する――と、六道は引き金を引く前から確信していた。

 自らの技量に、経験に、触感に、六道は確然たる勝利の絵図を思い描いた。

 だが、現実はズレてゆく。

 西へ東へ……狂飆に流され、北へ南へ……。

 想定など出来る筈もない不確定要素が生温い青写真を引き裂いた。

 弾丸は陣場の身体へ接触する寸前、突如として著しい減速を見せた。撃ち込まれた順に、ひとつ、ひとつと、全てのエネルギーを失った弾頭が工場の塗床に転がってゆく。

 予想だにしなかった光景。しかし、六道は彼がショボい能力者でなかった事を残念に思いながらも、すぐに気持ちを切り替えた。


「お返しだ」


 背後から陣場が手に取ったのは、IMI社製短機関銃サブマシンガン“UZI”、少しばかり重いが総合的な性能に優れたイスラエル生まれの優等生、言わずとしれた傑作銃のひとつである。

 しかし、当銃が傑作たる所以は性能だけに非ず、構成する総部品数の少なさと、プレス加工をふんだんに用いた簡便な設計から来る『生産性の高さ』こそ、その所以。ここに、正規兵ばかりでなく、あらゆる反社会的勢力に強く支持され、世に送り出された1950年から現在に至るまで長らく密造され続けている理由があるのだ。

 陣場の持つ銃もまた、その脈絡の中で生まれた密造品である。かつて『MUL.APIN』が地元ヤクザを取り込んだ折、組の倉庫に保管されていた出自不明のものを陣場が収奪したものだ。

 そうして、流れ着いたはいいが今の今まで出番のなかったそれが、遂に全自動フルオートで火を噴いた。

 狙いも曖昧にバラ撒かれた9mmパラベラム弾幕が一筋の帯となって六道に襲いかかる。だが、引き金が引かれる以前から、彼が取るであろう攻撃を予測し、塗床を蹴り飛ばしていた六道は、宛ら軽業師の如き身のこなしで危なげなく産業機械の裏に飛び込んで盾とした。

 それにやや遅れて、六道の足跡を追い掛けていた銃口が跳弾と弾切れを恐れて一時停止する。

 発射の反動による手の痺れを握りつぶしながら、陣場は己を奮い立たせる為、血気盛んに吠え立てた。


「――逃げ場なんて無いッ!」


 陣場の右足が空へ向けて勢い良く踏み出される。苛立ったから、デカイ足音でも打ち鳴らすのか? という六道の予想を裏切り、右足は塗床から数十センチ上のところで《風》を掴んだ。

 六道の無表情に内心の驚愕が微かに表出する。その眼前に於いて、陣場は次々と空へ足を繰り出してゆく。陣場の生み出した《風》はその期待に答えて、体重を弾き返す。

 そうして、あっと言う間に産業機械の天辺を見下ろす高度にまで登りつめた陣場は、今度は前方へ向けて駆け出した。こうなっては、もはや産業機械の盾などは役に立たない。

 陣馬は、狙いも付けずに弾丸をバラ撒きながら産業機械を踏み越えた。が、そこに六道の姿は無かった。あるのは脱ぎ捨てられたローファーと靴下だけ。

 すぐさま、その眼球と思考を前後左右に巡らすが、左右から出てきた姿を彼は見ていないし、前後はそもそも別の機械で塞がれている、登攀したとしても、その姿は見えた筈である。その間、落ち着き無く空気をかき混ぜる銃口が彼の心情を顕然と反映していた。

 必死の考察と捜索だったが、惜しくも実らず、六道の居場所は彼女自身が発した銃声によって彼の知る所となった。

 減音されていない銃声が工場内に響き渡る。大音量であるが故に位置特定を困難にする不意を打った射撃だったが、肝心の弾丸は先程と同様、陣場の周囲に展開されていた《風》に阻まれ命中する寸前で完全に失速、地に落ちた。

 この時、二人は「驚愕」という一点で奇しくも思いを同じくしていた。

 不意打ちでも駄目なのか、と六道が。

 何時の間にへ回り込んだのか、と陣場が。

 それでも――戦場いくさばに膠着は訪れない。

 須臾ほどの間を挟んで両者は即座に再起動した。

 陣場が振り向きざまに引き金を引いて、滅多矢鱈に弾をバラ撒く。これにより残弾の全てが吐き出されるが、託した思いも虚しく、産業機械と塗床に着弾した。

 しかし、迅速な行動の成果は十分に合った。黒い衣服の裾が産業機械の裏に消えたのを、陣場はチラリとだが捉えていた。

 手元のUZIは撃ち切った。が、だからといって、再装填の間に攻撃の手を休める選択肢は陣馬の中に存在しない。《風》の防御は未だ破られていないとはいえ、思考の暇を与える訳にはいかないからだ。自分ですら思いも寄らない“弱点”に至られては堪ったものではない。

 戦場の緊迫にじりじりと正気を削られながらも、陣場は空を駆け、学生服の内より筆箱大のプラスチックケースを取り出した。更に上着、ズボンのポケットに収めていた物も全て引っ張り出し、その中身を空へ放り投げた。

 直後、産業機械の影から隙を伺っていた六道の表情が僅かにヒクついた。


「……やば」


 陣場の周囲を取り巻く《風》に煽られ、無数の剃刀、数本のナイフ、ハサミ、針、釘、床に転がっていた薬莢、弾丸までもが宙に揺らでいた。

 いかにも「発射準備完了です」といった具合だ。

 一粒の玉の汗が、無表情の上を伝う。


「めちゃカッコいい感じで受け持ったのに、足止めもムリかも……」




 一方、岸刃蔵の待機するセーフハウスに於いても、戦いの火蓋が切られようとしていた。

 住宅の群れを逸れたセーフハウスの敷地に、一人の大男が忽然と踏み入った。殺風景なコンクリート地の庭を何の気負いもなく踏みしめる彼は、麻薬カルテル『MUL.APINムル・アピン』に所属するチンピラ売人の上役、山川穂高やまかわ ほだかその人である。彼は独自のルートで攫われた伊秩半七いぢち はんしちの居場所を掴んでおり、他構成員の許可も得ず独断で偵察に来ていた。

 敵地のド真ん中に居るにも関わらず、山川は、まるで大通りを闊歩するが如き歩調で庭を横断し、カーテンの閉じられていない大窓を覗き込んだ。相当な自信家か、或いは狂人の振る舞いである。

 しかし、それでも当初は「今日のところは下見で済まし、あわよくば侵入して内情を把握するだけ」という、彼にしては消極的な腹づもりでいたのだが、大窓の向こうに覗く伊秩の姿を見た瞬間に、山川の頭からは何もかもが吹き飛んでしまった。


「――伊秩!」


 衝動のままに窓をぶち破った山川は、瞬時に冷却を始めた頭で水の拘束具に四肢を磔にされている伊秩の元へ駆け寄った。そのゴツゴツとした手が伊秩の乾いた肌に触れると、その下で僅かに身じろぎが起こる。


「や……山川、さん……?」


 伊秩のうめき声にほっと息を吐く山川。意識は朧げで、疲労と飢渇けかつの苦しみの中にある。が、それでも息をしている、脈打ち、生きている。

 とことん気の済むまで生存を堪能した山川は、ゆっくりと手を離し、たなごころに伝染した仄かな体温をしかと握りしめた。


「さて……うちの伊秩が随分と世話になった様じゃねぇか」


 山川は目を細め、事の途中から背後に現れていた水を差しの息遣いに振り向いた。その両踵は、床から数センチ上の空を――陣場とは別の意味で――油断なく掴んでいる。この山猫の如き待機姿勢は、かつて山川が修めた武の教えではなく、逐電後の放浪生活で身に付けた臨機応変の構えである。

 対して、手の持っていた黒檀の杖と本を投げ棄て、ソファから立ち上がった岸刃蔵は、手首足首をストレッチさせながらこう切り出した。


「やる気なのは大いに結構。だが――その前に聞いてもいいかァ?」


 山川と同様、気負いの一切を感じさせぬ声音。山川は、意図的な無表情を作って先を促した。問答無用の雰囲気ではないと見て取った刃蔵は、ゆっくりとストレッチをしながら続ける。


「貴様の名は『山川穂高』で合ってるか? さっき、そいつは『山川さん』と呻いたが……」

「……なぜ、そんな事を聞く」

「いや、大した事じゃないんだがね」


 身体を十分にほぐし終えた刃蔵は、腰を深く落として、何の流派にも拠らない全くの自己流の構えをとった。


「殺した奴の墓碑を作るのが趣味なんだ。墓には要るだろう? 死人の名が」


 最初、山川はその発言の内容を理解できなかった。しかし、やがてその意を飲み込むにつれ、腹の底から徐々に込み上げてくる笑いを自覚した。


「――は、はははッ! 誰だかしらねぇが、イカれてんな! ……いいぜ、答えてやる」


 弟の様に可愛がっていた伊秩への仕打ちも忘れ、全てを短く笑い飛ばした山川は、次に、態とらしく眉をひそめてみせた。


「『山川穂高』ってのは、テレビに映った奴から適当に借りた偽名だ。かと言って、本名は既に捨ててるんでなぁ。なんて名乗れば良いのやら……よし! ちょいと癪だが、此処は敢えて彼奴らの名乗りをパクるとするかな。墓に刻まれるんなら、本名よりそっちのがマシだ……」


 名を問われ、答えに窮した山川――いや、ゲㇳシュは、忘れようにも忘れられぬ名乗り口上を述べながら、全身に染み付いた動きで以て腰を深く落とした。


ワレ末席ばっせき弐佰弐ニヒャクニ番目の神号しんごう竪行しゅぎょう』、銘文めいぶん貳句ニノク』を授かりし者。

 解名かいみょうを――『ゲㇳシュ』」


 ゲㇳシュが嘗て『若田部後胤わかたべ こういん』と名乗っていた辻髪つじがみみぎり止事無やんごとなき天より拝領はいりょうされし恩賚おんらいが、第三次元宇宙内外ないがい偏在へんざいする精神體アストラルを通して、今、此処に――


「フフフッ、覚えたか? なら、いざ尋常に……舞おうか!」


 ――〝励起れいき〟する。


 それは――軽窕けいちょうにして窈窕ようちょう鬼哭アリア

 閑雅閑麗かんがかんれい賤陋麁陋せんろうそろうの中庸を得て、うつろ伐性之斧ばっせいのおのを説かんとす。

 治者ちしゃへつらい、威光いこうおもねり、ついに螺子曲がった鉄柄仕立てつえのしたて寒士かんしいやしめ、貧苦ひんくさげすみ、地をえぐらんほど場違ばちがいに肥大した大上反十字おおうわぞりじゅうじ是等これらを以て六尺二寸のゲㇳシュに並び立つ【消音】の短槍。


貳句ニノク - ひすかしき/浄御柱おんばしら - 無名】


 その鉄柄に彫り込まれたアラベスク様式に似た謎の装飾に、ゲㇳシュの掌がピタッと吸い付いた。


「ド、抜いてやるッ――!」


 地を蹴り飛ばしたゲㇳシュが、穂先の大上反十字おおうわぞりじゅうじでフローリングの表面を削りながら刃蔵へ迫る。

 その両手に収まる一風変わった異能に、刃蔵は明確に言語化できない不調和を感じながらも、躊躇は死に直結する、との経験から瞬時に律し、自らの異能を発現寸前の状態にまで持っていった。

 さあ、何処からでもかかって来い! 刃蔵は、僅かに蟠る怯えを塗り潰さんと心中で気焔を吐いた。

 だが、この時の彼は知る由も無かった。

 ゲㇳシュが取った山猫の如き体勢の意味を。不気味に浮かぶ笑みの裏側を。

 故に――次の瞬間、ゲㇳシュの浮足立つ踵が瞬間、刃蔵の心中には気焔を乗り越えた『驚愕』の二文字が急激に台頭、渦巻いた。

 踵と床面フローリングの接触面から響き渡る、タップダンスの様な「ターン!」という謎の衝突音を合図に、あたかも燃え堕つるダストが天に明滅するが如く、吶喊に急制動ブレーキを掛けたゲㇳシュなる者の雄姿は、一切合財、余す所なく世界から滑落した。刃蔵の眼前に纏っていた衣服類だけを残し、両手に携えた恩賚おんらいと共に第三次元宇宙から完全に失せロストした。


「――ッ!?」


 刃蔵は、咄嗟に口走りかけた「何処へ!?」などという間抜けな台詞を頬肉と一緒に噛み締めて、来たる攻撃に対応すべく、警戒を強めながらソロソロと部屋の中心を目指した。動揺を最小限にとどめ、僅かな兆候であろうと見逃さぬ心構え。それは、結果として視界の端に何らかの動体を捉えるという大きな収穫を呼び込んだ。


「くっ――!」


 反射的に振り向く。だが、正面に捉える事は間に合わぬであろうと悟った刃蔵は、の者をみやる事なく、逆にその場に踏ん張って、僅かに捉えた動体方面に意識を集中させた。

 片や不随意、片や随意。

 して平等には非ぬ交錯。その寸前、年齢を感じさせる肌とそれに纏わる値の張る衣服を切り裂いて、諸刃もろはの切先が次々と発現した。

 岸刃蔵の異能――《體を諸刃もろは變換へんかんする》能力によって瞬時に現出せしめた諸刃の剣山である。それらは、大半を砕かれながらもふるわれた短槍を受け止める任を見事に全うした。

 飛び散る破片を、その下から新たに精製した諸刃もろはで防ぎ切った刃蔵は、前方に飛び退きつつも首上だけで振り向き、彼の者ゲㇳシュの裸姿を見留める。

 筋骨隆々の裸姿を惜しげも無く晒すゲㇳシュは、体勢の整わぬ相手に突っ込むでもなく、はたまた引くでもなく、またも床面フローリングに右踵を打ち付けた。その瞬間――「ターン!」という例の正体不明が響いたかと思うと、ゲㇳシュの姿は忽然と消え失せた。

 否応なく、対応者に甘んじざるを得ない状況に刃蔵は歯噛みしつつも、再度、異能を発現寸前の状態にまで待機させて思考を回転させる。

 あの謎の音が切欠、或いはその副産物であるとは理解できていた。

 だが――と。

 しかし、情報の整理すら儘ならぬ内に思考は打ち切られる。刃蔵は、床面フローリングに映し出された巨大な影に、背後へ迫る穂先を察知してしまったのだ。今度も、振り向けない。

 二度目の交錯――衣服と皮膚組織を変換した諸刃が、破片となって弾ける。

 危うかったが、今度も刃蔵は防ぎきった。これで、完全なる不意打ちを“二度も”防がれた事になるゲㇳシュは、大袈裟に距離を取りながら内心で舌を巻いた。


「妙に――慣れてやがるな!」


 またも響いた謎の音を合図に、ゲㇳシュは忽然と失せる。

 その間際、痰を吐き出すが如く呟かれたその感想はただしく、「正鵠を得ている」と言って良い。

 確かに刃蔵は慣れている。修羅場の緊張を、土壇場の快楽を、身を覆う闇夜の外套と同じ様に慣れ親しんでいる。

 概して温厚、敢えて悪く言えば平和ボケした現代人に有るまじき『煥発』と『沈着』の態度。但し、それは刃蔵の殺人経験にでなく、MCGの業務によって培われたものである。ほぼ同時期に所属した灰崎炎燿の倍近くを戦い抜いた歴戦の交渉員は、絶えず変化する戦場いくさばの潮流をけして見逃さぬ「戦士の勘」を身に着けていた。

 その熟達の機敏を見て取り、認識している筈のゲㇳシュだが、彼が今、心中に抱いている思考は『驕り』とも呼べるものだった。そして「未だ優位は己にあり、相手の能力は割れたが此方は割れていない」と軽率に決めつけた。

 二度の不意打ちをしっした時点で、一呼吸分でも思考時間を取るべきだった。そして、攻め手を変化を付けるべきだった。ゲㇳシュの“異能”なら、それが出来た筈なのだ。

 “実戦経験の差”とでもいうべきものが、ここに来て噴出し始めていた。

 直後、刃蔵の完全なる死角――背後の壁から音もなく襲いかかったゲㇳシュは、想定外の光景を前に両目をひんむいた。失策を悟り、方向転換を試みようとするも、既にふるい始めてしまった穂先は簡単には止まれない……。

 横振りに半円を描く銀の穂先は、、迷いなく振り向き、大きく前屈した刃蔵を捉えきれず、なびいた髪先を僅かに毟り取って大きく空振った。

「稽古」と「お務め」ばかりに励み、実戦の機微に疎かった事が、ゲㇳシュに抱いた違和感を軽んじさせたのだろう。機を見誤った。それに加えて、新たな能力オモチャを手に入れてから日が浅いというのに、慣らし運転も満足に行って来なかったツケも影響した。

 ゲㇳシュの扱う異能の術理メカニズムを、刃蔵は完全に理解している訳ではない。だが、わずか二合の内に使い手の『癖』というものを読み切っていた。

 音を有する“潜行”に対して、“浮上”は完全なる無音。例えるなら闇夜を裂く梟の飛行であり、聴覚、視覚に頼る相手なら一方的に狩る事が出来る能力だ。

 刃蔵は思う。攻めが背後への一辺倒、タイミングもズラさないワンパターンなものでなければ危なかった、と。

 だが、ひとつだけ断っておきたいのは、ゲㇳシュにも抜き差しならぬ事情はあったという事だ。潜行中、ゲㇳシュは『《異空閒いくうかん》を満たすヘドロ』の所為で著しい視界不良となる。これでは、重なり合う第三次元宇宙に居る相手を見失いかねない、攻撃を外しでもしたらそれこそ事だ、不意打ちの意味がない。ある程度は見えるにしろ、大事を取ったゲㇳシュは、潜行前に確認した相手の死角――『背後』を目指して急浮上する、という手段を取っていたのである。

 それを三度に渡って繰り返したのは悪手であったが、公平に見れば、ゲㇳシュを責めるのではなく、刃蔵を褒めるべき一幕だろう。

 刃蔵は、必殺の間合いに生まれた隙を突き、揺れる穂先を更に蹴り飛ばした。同時に短槍の根元へと踏み込むと、右腕を突き出して諸刃の剣山を発現させる。


「死ねィ!」

「ぐお、お――ッ!」


 迫り来る、カミソリすら肉厚に思わせる薄刃の剣山。それを、ゲㇳシュは御柱の石突側を挟み込む事で押し留めようと試みる。これは全くの無意識的に取った行動だったが、積み重ねた訓練によってゲㇳシュの身体に染み付いていた型が、最も適した位置へと石突を導いた。

 諸刃が、御柱のより前方を掴んでいた左腕の肉と骨を裂く。

 が、生命を断つには至っていない。

 この時、結果如何に関わらずという心持ちで追撃の左腕を突き出し始めていた刃蔵は、研ぎ澄まされた本能で「相手は異能を用いて逃げるだろう」と予測した。能力の術理メカニズムはさておき、それが相手に取っての最善の選択だと思えたからだ。

 事実、ゲㇳシュの右踵は既に空を掴んでおり、追撃を待たずとも床面に叩き付けられる状態にあった。

 しかし――ゲㇳシュはそうしなかった。

 彼にも意地がある。持って生まれた、高貴なる義務いじが。

 恐らく、岸刃蔵には理解できない理由を以て、痛みに震える爪先を思い切り踏み込んだゲㇳシュは、短槍を自らの精神體アストラルへ一時的に回帰させ、損傷した左腕を肉盾としながら、無事な右腕をも諸刃の中へと深く突き入れた。そして――


「つ、掴んだ、ぜ……?」


 ――諸刃の一角を、掴んだ。肉の中へ、包み込む様に。

 その時、ゲㇳシュが見せた表情に心底から怖気を感じた刃蔵は、本能の鳴らす警鈴に従い、攻撃ではなく振り払おうとした。この期に及んで攻めっ気に富んだ実に刃蔵らしい選択だ。しかし、これが結果として後手を招いた。ゲㇳシュに逃げる用意があるのは知っていたのだから、刃蔵は《諸刃》を體へ還元させるべきだった。

 当然の如く、空を掴んでいた踵の再接地が刃蔵の対応を先じた。

 瞬間――セーフハウスのリビングルームが、衣服が、衣服を変換した方の諸刃が、世界が、第三次元宇宙が、全て同時にバラバラに薄れ、解れ、滑落した。

 時を同じく、第三次元宇宙に重なり合って存在する《異空閒いくうかん》に満ちたヘドロが刃蔵の肌に吸い付き、五感と呼吸を圧迫し始めた。まるで、底なし沼に引きずり込まれた様な感覚に包まれながら、刃蔵は地面らしき何かに着地する。

 ゲㇳシュによる攻撃らしい攻撃はない。そればかりか、諸刃を掴んでいた右腕の抵抗すら消失していた。

 この時、既にゲㇳシュは距離を取って傍観ひっさつの構えに入っていた。その目論見は「窒息」である。

 この《異空閒いくうかん》は、第三次元宇宙が発生した過程に生まれた皺寄せである。それ故に、有りと有らゆる森羅万象を欠いている。天も、地も、大気もまたそうだ。ここにあるのは、遮音性を備えた「無」と等価値の色のないヘドロだけである。

 事情を知るゲㇳシュは潜行時に大きく息を吸い込んでいたが、無知なる刃蔵は攻撃時を捉えられた上に、そんな事を知る由もない。


「………………!」


 必然だった。

 刃蔵は、音もなく、健全なる酸素を求めてただ咽る他なかった。

 命潰えゆく羽虫の……最後の羽ばたき。視界不良のヘドロに包まれて、刃蔵は苦しみ藻掻き地面らしき何かの上でもんどり打った。

 血中酸素濃度低下乃至ないし血中二酸化炭素濃度上昇により、肌の其処此処そこここに青が映えた。チアノーゼである。渦中、刃蔵は滅茶苦茶に異能を振りまくが、ヘドロは隔絶した「無」であるが故、皮膚の一部が《諸刃》に変換されただけに終わった。

 やがては、その蠢きも収まりを見せ始める。

 油断なく遠巻きに構えられていた短槍の穂先が、徐々に下ろされてゆく。

 最早、静音のヘドロの中に無音の叫びが響くのを待つばかり……そう思われた。

 次の瞬間。



 光なき透過の/世界/にかげりが差した。



 理を超越し/世界/の表裏を覆い尽くさん大廂おおびさし

 庇護に非ず。

 表裏に偏在する刃蔵の精神體アストラルが翳り、それが視覚野に反映されただけの、謂わば


 ? ――のヘドロが、遂に肺腑を侵犯し尽くした。


 刃蔵は、重なり合って存在する第三次元宇宙のリビングルームの天井を見、その上空を見、遥かに聳える見、見、見、「デ?/?/ヘ/?/?ナ」

 息詰まる世界で、見上げ、「??/ク/?/ィ/ミ?」

 見たのは、見たのは、隕九◆縺ョ縺ッ、「?ル/?/?/?/??」

隕九◆縺ョ縺ッ、隕九◆縺ョ縺ッ、隕九◆縺ョ縺ッ、隕九◆縺ョ縺ッ、隕九◆縺ョ縺ッ、隕九◆縺ョ縺ッ、隕九◆縺ョ縺ッ、隕九◆縺ョ縺ッ―――――――――――

 ――――

 ――

 ―あれこそは盤外ばんがいまします“人ならざる者”。



「𒀭繝�Ν繧ッ繝倥ぅ繝溘リdJerI/KUph/heK/y/mInA……?」



 それはかげりだった。ひかりだった。

 刃蔵は自らが呟いた音を理解できなかった。しかし、視界を占有する、無限の宇宙的神秘を体現したかの様な圧倒的にして「無」という稀有な存在感が、たらしめているという事だけは理解できた。

 やがて、視神経を通して脳へと侵犯し続ける、外宇宙の第五元素エーテルから滲み出た超高密度の視覚情報を前にして、刃蔵は窒息によって死の淵に立たされている事も忘れて、しめやかに発狂した。

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