第5話 不良くんの祖父
「不良くん、元に戻っても仲良くしてくれないか?
今、不良くんの体になってどうして今まで先生やクラスメートに対してあの態度を貫いていたのか何となく分かった気がするんだ。」
「気弱、分かったか。なんで俺が今まで、あんな態度を取っていたのか分かったか。
やはり、気弱は俺にとって良き理解者だ。
もちろん、お互い戻っても仲良くする。もし、破ったら…わかるよな?」
不良くんの祖父が難病で寝たきりの状態になっておりお父さんが週3くらいの頻度で祖父の居る家まで行き面倒を見ている。
祖父の担当医からは「いつ容態が急変してもおかしくありません。念の為心の準備はしておいて下さい。」と言われているらしく、不良くんは自分なりに「誰かが死ぬかもしれないなら、手を差し伸べて助ける。
それが見知らぬ人でも関係ない。だから、簡単に『死ぬ』という言葉を使って欲しくない。それで、思わずあんな態度をとってしまう。自分でも良くないとは分かっている。
もちろん祖父には難病を乗り越えて長生きして欲しいと思っている。」
「不良くん、不良くんの祖父は今の所容態は安定しているみたいだから安心して。」
と言うと不良は安堵の表情を浮かべ、少し笑みがこぼれた。
つづけて
「そうやって、不良くん一人でその問題を抱え込まないで仲間に相談してよ。この問題は不良くんだけの問題じゃない、みんなで考える問題だ。みんなで考えて答えを出す。
だから、もう自分一人で責任を持とうとするな!」
自分でもびっくりするくらいの声量で不良に思いをぶつけた。
「でも、気弱。医師から治る可能性は低いと言われてるんだぞ?病気に対して何の知識も無い俺達がこの問題を答えるのは、どう考えても無理じゃないか?」
「不良くん、この問題は病気に対して答えを出すのではない。もちろん、医師でも無い我々にはわからない問題だ。
しかし、今考えなきゃいけない問題は「死」だ。不良くんは他人が「死」という言葉を簡単に使ったことが許せない。
だからこそ、みんなが「死」というのはどれくらい怖いのか考えるということだよ。
確かに、この問題は難しいかもしれないけど、一人で考えるよりもみんなで考えた方がより近い答えが出るんじゃないかと僕は思うよ?」
と言葉を掛けてみんなで「死」について考えることにした。
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