炬燵から出れない若者たち

最近は痛風気味

炬燵から出れない若者たち

冬になると活躍するのが炬燵である。余りに快適なので、足元が冷える時はとても重宝するし、なかなか抜けれない。夜になるとしまいには寝てしまう事もしばしばあるものだ。

逆にその心地よさから、人間を堕落せしめる恐ろしい一面も持っている。近くに必需品を手の届く範囲に置いておけば、大抵過ごせる。なので、極論を言えば、炬燵で一生過ごせるかも知れない。

さて、今の若者たち(もちろん全てに当てはまるワケではないが)は「傷つきたくない、でもいい目にあいたい」という「ご都合主義」とでも言おうか、そう言った傾向があると感じる事が多々ある。

こう言う事があった。

会社に掛かってくる電話の応対について議論が沸いた。新人が電話を取らないので、電話が鳴りっぱなしになっていると一部からクレームが出た。

決まりとして電話の応対は新人の役目になっている。それなのに受話器を取ろうとしない。なので、代わりに他のものが出るしか無い。電話を取らなければ「誰かが取るだろう」と高を括っているのだろうと。

勿論誰かが掛かってきた電話を取らなければならない。しかし、新人の仕事になっているため、折を見てある新人にその理由を問うた。

すると、こう答えた。

「自分は忙しいんです。電話なんて出ていられない」

驚愕の回答だった。

「なにぃ、忙しいだと?みんなそうに決まってるじゃねぇか!」

怒りが湧いた。しかし、このご時世「xxハラスメント」なんてものが蔓延る世の中。下手な事は出来ない。

「誰かが対応するだろう。文句言われたって、俺たちに手出しする事など出来っこない」

正に「他力本願」、「ハラスメント」という傘に守られているとしか思えない。そこでぬくぬくしている。そこにいれば自分に被害が無い、というずるい考えがあるに違いない。

「炬燵」にいる限り自分は大丈夫とでも思っているのだろうか。

所詮、次に「炬燵」を持参する新人が、近いうちにやって来る。その時、その彼は炬燵から足を出すのだろうか。

恐らく、次の「高性能の炬燵」の持参者に同じ事を言われるだろう。そして、彼の人生はその「炬燵」から一生出れずに過ごす人生になるのだろうと思う。

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