ホワイトギルドへようこそ!
タダノクサ
プロローグ
世界が魔族とで二分化されたこの世界で
人間達は国を建て、法を定め、税という義務を課し、冒険者という権利を作った。
その権利を管理するためにあるのが各町に建てられた<ギルド>という場所だ。
<ギルド>は国から一定の補助を受け、依頼を仲介し、冒険者はそれをこなし賃金を得る。
言ってしまえば<役人>と<下請け業者>の関係だ。
だが冒険者という名だけあって危険はつきものではあるが見返りは大きい。
人間の領域に入り込み害を為す魔族や魔物を狩ることができれば平和な街中でコツコツと働くよりも
ずっといい報酬が貰える。
未探索の遺跡の中で財宝でも見つければそれこそ一攫千金である。
一昔前は大きな功績で<勇者>として認められ計り知れない富や名声を得た者もいるのだ。
そんな夢と希望に溢れる職業こそ冒険者、国が作った民衆に認められた権利である。
というのが国の宣伝文句である。
内情は大分違う。
ギルドというシステムを設立した当初は民衆の理想に沿った形での運営がされていたが
魔族との戦争による国の資金難。
それによるギルドへの補助金の減少。
権力者達の私利私欲による税の増加。
依頼料の横領等のギルド職員の不正。
それに伴う冒険者の賃金の低下。
冒険者という権利を振りかざすならず者の増加。
低ランク冒険者の無理な依頼遂行。
依頼達成率の低下。
それでもなお宣伝文句に夢を見て冒険者を希望する者達は減らなかった。
そんな中、とある地方の街で国の機関から独立した新体制を築いたギルドがあった。
これはそんなギルドと、そこにいる冒険者達のお話。
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