第10話 ~いのち~
ぼくと凪、されからマリエとその弟のカークの4人での生活は、割と上手くいっていた。
まず、ぼくと凪は冒険者として採取や狩りで現金を得る。それを4人の生活費とし、マリエとカークは、家でご飯を作ったり、掃除や洗濯等の日常的な仕事をしてくれていた。
けれど、そんな他愛もない毎日が続かないことも分かっていた。例の「神力」で建てた数多くの仮の家だ。余り嬉しくないが、予想通り貴族等に目をつけられた。
余めそんな時のためにどうするかを決めてあった。
なので慌てることなく荷物をまとめてこっそり他国に移動する。
基本は、テイムした飛竜に運んでもらった。
樹で編んだ大きな籠に4人入って、その籠を両足で持って飛んでもらうのだ。こうすれば落ちる心配も恐怖も少なくてすむ。
人目のないことを確認して飛び立ってからは、夜の闇に紛れて飛行する。籠の中では、毛布にくるまってみんな寝て、明るくなったら森に降りてトイレや食料を集め、暗くなったら籠ほこの中で寝ながら運ばれる。そんな5日間、漸く隣国に着いた。
元居た国が、アースエリア。今居る国がディーネエリア。
ディーネエリアは、水の豊かな長閑な農村が多い。
『冒険者ギルド』には、改めて名を変えて登録をし、「神力」がばれない様に細心の注意を払った。
大人になって、ぼくとマリエは結婚した。
「神狐」の凪は、年を取らないので山奥で暮らすようになった。「神力」を使って幻影で誤魔化せるが、常に使い続けるのは地味にめんどくさいのだ。
カークは、自分の仲間を見つけてパーティーを組みたい(彼女も欲しい)と冒険に出かけた。
ぼくたちが新婚で気を使ったっていうのもあるのだろう。
暫く寂しかったが、娘と息子に恵まれた。
そして、育児に追われて思い出すのは、ママとお母さん。
やがて子供も大きくなり、巣立っていく。
残されたぼくとマリエは、冒険者での貯金もしっかり貯まったことから、のんびりと余生を送った。
ぼくとしては、幸せと言えるものだったけど、マリエにはどうだったのだろうか?
今更だけど気になった。
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