物語れない言葉

胃の中に渦巻く言葉

頭の中には部屋

うずくまっている私

巡り続ける血はちっともどこにも行けやしない

時折流れ出てしまうのを

かき集めて並べて見ても

ちっとも何にもなりやしない

それなのに

吐いたものは 二度と嚥下できない


どうにもならない

物語らない言葉たち

何も語れない言葉たち、ナンセンス


意味はないが、理由もない

正当性は元よりない

語られぬ言葉を誰が聞けるというのだろう

骨伝導だって無理だ

ヘッドホンを捨てようとして

きつく締めたネクタイを千切った



えずいた拍子に言葉が飛び散って涙が出る

キレイな言葉だ、と涙が出る


何にもならないくせに綺麗だ

何もできないくせに綺麗だ


どうして順番を守れないのですか

どうして早く言わないのですか

どうして嘘をつくのですか

どうして約束を破るのですか


約束なんて知らなかったんです

秘密を教えてくれませんか


怠惰な頭の中の部屋

うずくまっているうち いつの間にか船の底にいる私


口を開いても声は出ないんだ、

喉を締めている私


それを見ている貴方、もしくは私


せり上がる言葉は グチャグチャで

洗面器、空いていたっけな



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