貧乏くじを引かされちまった誰かさんのために

誰かがここの後始末をしないといけないだろうと思って。

オレたちが全員死んで、落ち着いた頃にな。


その貧乏くじを引かされちまっただろう誰かさんのために、ちょっとしたお役立ち情報を残したいと思う。

ヤツらの親玉、女王と言ってもいいな。

女王様って言うほど綺麗なもんじゃないが、そう表現するのが妥当な生命体だ。

まぁ、そいつの居場所だ。

直接確認できたわけじゃないが、ほぼ間違いなく最下層にいる。

マップにはまだ載ってない最下層だ。

オレもそこで作業をしたことがないから、どんな構造かは知らない。


最下層までは第3シャフトが通じてるって話だ。

エレベーターもあったんだが、バカが吹っ飛ばしちまったもんだから使えない。

だから何百メートルもありそうな階段を丁寧に歩いていかないとならない。

で、運良く、根気強く奥までいけたとして。


親玉を殺すには、そこらへんの武器じゃ足りない。

それこそ坑道ぜんぶ吹っ飛ばすくらいのものが欲しい。

一回、殺そうと思ってやってみたんだが、警備員の持ってたライフルじゃ何発あっても十分じゃなかった。

人やそこらの獣はこいつで十分なはずなんだが、それだけ奴らが範疇外ってことさ。

そのおかげで、ヤツには引っ越されたってわけだ。

おまけに働き蜂どもが明らかにオレを狙うようになったしな。

散々だった。

まったく、うまくいかないことばかりだ。

なんとかしようといろいろやったんだが、アンタもわかる通りこのザマだ。

いやになるね。

だからオレの代わりに、誰だか知らないがアンタがやってくれると助かる。

確信がある、オレ以外の誰かなら絶対できるってな。

なぜならオレには昔から運がない。

だから、

オレにはできなかったが、アンタならできるかもな。

自分のことは信じきれないが、

誰かのことは信じてやれる。

笑えないくらいに無責任だが、

オレには昔からそうするしかできないってことをな、いまになってようやく思い出したよ。

すまん。

なんの足しにもならんだろうが。

やってくれ。

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