わたしにだって

/2044年12月19日/


それにしても驚きました。

いや、呆れたと言うべきなのかもしれません。


ここに配属されるときに仕事は採掘業務の報告を本部に連絡するだけと言われていたのですが。

まさかこんなことになっているとは。

本部に問い合わせても返信はありませんし。


幸い前任者の残してくださった調査データはありますし、

部隊の方々からも仕事について聞くことができました。

どのような方々かと思いましたが、悪い方ではなさそうです。

多少、わたしに対して不安感というか、なめている様な空気も感じなくもないですが。

まぁ、こんな若い小娘がいきなりきて新しい責任者だと言われてそのまま納得するのは簡単なことではないというのもわかります。

それだけ彼らは危険と隣り合わせの厳しい環境におかれているようなのですから。

そのわたしたちが対処すべき〝ザイゴート〟と呼ばれる生命体は、人類にとって脅威と言えるでしょう。

しかし不思議なことに、データをいくら見てもそれらの写真がないのです。

それどころか、どのような見た目で大きさ・重さなどの文章による記述も見当たらない。

部隊の方々に聞いても見た目に関しては何も言ってはくれませんでした。

果たして本当にそんな生命体は存在するのだろうか、そこに小さな疑問を抱かずにはいられない部分もあります。

仕事をしていればそのうちわかるということなのでしょうか。

ちょっと不親切だと思うのですが。

まぁ、それを言ったら本部が最も不親切なのですが。


不安も残りますが、

やれることをやらなければ。

でも、作業員一〇〇名以上を行方不明にして、

それに戦闘部隊の半数を倒してしまうほどの生き物と関わる仕事なんですよね。

わたしなんかで平気なのかな。

いや。

大丈夫――、わたしにだってできるはず。

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