あるレポートに関する報告

@shakkinkun

1P目

僕の彼女の渡辺佳純は、2011年の2月16日、季節に従う綺麗な雪面と、それを照らし銀鏡と成す太陽が眩しい日に、花小金井駅の近くにあるTUTAYAで懐かしい映画を3本借りた後、自転車で10分の家に帰る途中の坂にて、自転車を蹴り倒されてナイフで刺されて死んだ。

犯人に渡辺佳純との接点は無く、犯行動機は分からない。同様の事件をもう一件、武蔵小金井駅の近くで起こした後に、その場で自害してしまったからだ。犯人の身元特定が済んだ後で、警察が犯人のスマホを調べたところ、ウクライナ21やアカデミーマニアックスなどの快楽殺人動画を見漁っていた事がわかっている。これは公には報道されていないが、被害者と深い関わりを持つ僕は警察から聞かされているので事実だろう。そんな事を聞いてどうにかなるわけではないが、ただの模倣犯でしたで終わる事件だと釘を刺された気がした。



そんな彼女と出会ってから、彼女が死んで僕もこの世から消えるまで、それをここに綴っていこうと思う。

安心して欲しい。彼女が死んだ2月16日は、今日4月2日からほんの二ヶ月弱前の事で、ここに綴り終わるのが明日になるか明後日になるか分からないけど、そんなに長くはならないと思う。


僕の命日は4月5日にしたいから、それまでに書き終えている事を目標にしたい。


まずは一年前、2010年の1月7日の夜22時ごろに遡ろう。ここに綴る話しの全ての始まりは、その時に掲示板でチャットをした事から始まった。


もしもこれを読むあなたが、洞察力と推理力に優れ、正義感に溢れるような人物であるのならば、僕はとても嬉しく思う。

なぜなら、


いや、それは記す必要もないか。

あぁ、そうだ、読む前にこれだけは留意してほしい。これは小説と呼ぶにはあまりに稚拙で、啓蒙書と言うにはあまりにも中身が無い、そんな冊子というか、ただのレポートだ。


プロローグとしてはもう十二分だろう。僕は次の章へ筆を走らせる事にする。


もしよかったら、最後まで読んでほしい。

僕と彼女の、数奇な物語を。

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