第183話 パウロ 奇跡と試練
聖霊によって選ばれたサウロは、バルナバとキプロス島に着くと、ユダヤ人の会堂を見つけ伝道します。
パフォスに来たとき、そこの地方総督セルギオ・パウロという聡明な人に会います。彼はキリストについての話をとても聞きたがっていました。
しかし、隣にはもう一人の男がいます。呪術者であり偽預言者バルイエスです。名前からして胡散臭いですね。
バルイエスは総督のお抱え呪術者です。総督がパウロの話に信仰を持ったら、自分の収入源が無くなります。阻止しようと必死です。
悪霊的な臭いを感じたのでしょう。パウロはバルイエスを睨み付け、
「あらゆる詐欺とあらゆる罪悪に満ちた悪魔の子、全ての義の敵よ!神の正しい道を歪めて止めないのか?……あなたは盲目になり、目が見えなくなる!」
パウロはディする。しかも自分と同じ奇跡を押し付けます。バルナバも苦笑いでしょう。
本当に盲目になり、手を引く人を探し始めました。そこも同じやないかい。笑
総督や、それを目の当たりにした人々は、キリストの弟子になりました。やったね、パウロ。
しかし、その奇跡を妬んだユダヤ人もいてパウロを石打ちにしようと暴挙に出ます。
パウロとバルナバはルステラに逃げました。
今度はそこで生まれつき足の萎えた人に会います。話に耳を傾けていたその男性を、パウロはじっと見つめ、癒しを受けるだけの信仰があるのをみました。
「自分の足でまっすぐに立ちなさい!」
パウロが大声で言うと、何という事でしょう!
まっすぐに立ち、踊り、歩けるようになりました。パウロの奇跡パート2にも群衆は反応しました。
新参者パウロの奇跡は、彼が正真正銘の使徒であることを証ししたのです。
群衆は狂喜乱舞します。
「神々が人間のようになって私たちの元に下って来たのだ!」そう叫ぶと、バルナバをゼウス、パウロをヘルメスと呼び、花輪を持って讃えます。
ゼウスの神殿に雄牛の犠牲を捧げる者も現れました。
バルナバとパウロはちやほやされて、どう反応するでしょうか?
殺されそうになったことはあっても、神様だと持ち上げられた事などありません。ある意味試練です。人間崇拝に陥るかどうか試されています。
「……皆さん、なぜこんな事をするのですか!私たちもあなた方と同じ弱さを持つ人間です!」
パウロもバルナバも自分の衣を引き裂いて説教を始めます。人間崇拝を拒否。
「あなた方は無駄な崇拝をやめて、天と地と海とその中の全ての物を造られた方を、生きる神に転じなさい!……神は天からの雨と実りの季節を与え、食物と喜びで満たして下さっています!」
簡単に言うと、ゼウスや、ヘルメスじゃなくて、イスラエルの神を、創造の神を崇拝しなさいって事ですね。
群衆は、パウロとバルナバを崇拝するのを止めました。説得力すごいです。
すると、それを見ていたユダヤ人のある者が、二人を妬んで、群衆を焚き付けます。
「パウロとバルナバを石打ちにしろ!」と。
群衆心理は怖い。さっきまでゼウスだのヘルメスだのとちやほやしていたのに、パウロに石を投げつけます。
バルナバ逃げる。パウロも逃げる。バルナバ逃げる。パウロ……石に当たる。
パウロは石打ちにされてしまいました。ステファノの祟りじゃー。
群衆はパウロが死んだと思って市の外へ引きずり出しました。しばらくして、バルナバは心配で弟子たちと様子を見に来ました。
「しかし、弟子たちがパウロを取り囲んでいると、彼は立ち上がって町に入って行った」
パウロ……死んでません。ゾンビのように甦り、自分の足で歩いてまたルステラの町に戻りました。
ホラーです。いや、パウロは強い子です。傷の手当てを受けると、翌日バルナバと共にデルベに向かいます。回復力半端ないですね。
デルベでは、大勢の弟子を作りました。神様は頑張ったご褒美を二人に与えて下さいました。
そして、デルベからまた、ルステラに戻り、イコニオムを経由してアンティオキアに帰ります。
自分達を迫害した町を通る目的は、弟子になったばかりの人の信仰を強め、会衆を組織し、長老を任命する……アフターフォローです。
パウロが選びの器と言われたのは、この強靭なメンタルと、組織力、リーダーシップでしょう。
一年半かけて第一回宣教旅行が終わりました。
アンティオキアに戻ったパウロはぺテロたちにこう報告します。
「神が信仰への戸口を諸国民に開かれた!」
そうです。ポジティブです。もっと宣教する必要があることを報告します。
パウロカッコいい。祝福だけに目をとめて、また宣教旅行に行くのです。
パウロがんばれー!
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