第125話 ヨナ 神様に正される

――ここはダビデ小学校の職員室――

 学級委員長のヨナ子ちゃんは、ハナス先生に呼ばれて、何やら大役を仰せつかっています。

「あなたにお願いがあるの。ニネベ君に注意することがあるから、給食までに先生の所に来るように言ってくれるかしら。げんこつあげるのよ」


 ヨナ子ちゃんは大喜びで、自分の教室に戻ります。いつもスカートめくりをするニネベ君をとっちめる事が出来るのですから。ヨナ子ちゃんはクラスみんなの前で、ニネベ君にこう言います。


「ニネベ君は悪い子だから、ハナス先生が給食の前に職員室に来るようにって言ってました」


 ニネベ君が先生に怒られるところを想像して、ヨナ子ちゃんはクスリと笑いました。クラスのみんなも意地悪なニネベ君に罰が与えられる事を楽しみにしていました。


 なのに、給食を美味しそうに食べるニネベ君。ヨナ子ちゃんはビックリします。

「謝ったら許してもらえたんだ。やったね」


 Vサインをするニネベ君を見てヨナ子ちゃんは不愉快になりました。謝ったからって罰も与えないハナス先生には怒れて仕方ありません。


 ヨナ子ちゃんはどうして怒れたのでしょう。プライドが傷ついたのです。学級委員長として大役を果たしたのに……。ニネベ君が罰を与えられる事をみんなにも言ったのに。私嘘つきだ。


 そうです!ヨナも同じです。預言者としてのメンツが保てなくなりました。プライドが傷ついたようです。滅ぼすって言いまくった自分は嘘つき呼ばわりされる。死んでしまいたい。そうだ、それに私は神様が相手の反応次第で、態度を簡単に変える事を知っていた!だからその事も考えて、ニネベに行きたくなかったんだ!逃げた理由もぶちまけて言い訳します。まったくもー(怒)。キレるヨナに神様は「あなたが怒りに燃えた事は正しいことか?」自己吟味させますが、ヨナは無視。


 ヨナはそれでも、40日目に何かが起こることを信じて、自分の家には帰らず、東の方向に進み、ニネベ一帯を見渡せる場所に仮小屋を建てます。


 木の棒を組み立てただけなので、日差しがヨナを襲います。暑い中、ヨナは少し眠りました。

 

 怒りに満ちたヨナを、神様はどうなだめるでしょうか?まず、一本のひょうたん(とうごま)を生えさせ、一夜のうちに仮小屋を覆います。それは日陰を作り、ヨナを直射日光から守りました。


 ヨナは神様の気遣いだと大喜び。神様は怒ったヨナの機嫌を取っているのでしょうか?


 いいえ、次の日、1匹の虫に命じて、ひょうたんを枯れさせます。しかもめっちゃ熱い東風を送りヨナをヘトヘトにしました。


 ヨナは枯れたひょうたんを見て気分が暗くなり、またキレて死なせて下さいと神様に言います。神様はヨナにこう問いかけます。


「ひょうたんが枯れたことであなたが怒っているのは正しいことか?」

「私が怒りに燃えた事は正しいことです」

 ヨナは自分の怒りを正当化して言いました。


 さあ、神様のヨナを正す時が来ました。

「あなたが植えたものでも、育てたものでもない植物が枯れた事をあなたは惜しんでいる。私としても、大いなる都市ニネベの12万人以上の人間と家畜を惜しんだとしても当然ではないか」


 神様は人間に命を与え、養って来られました。ニネベの人々も同じです。悔い改めをするなら簡単に殺しはしません。


 ヨナは自分の為のひょうたんが枯れたことで怒りました。ひょうたんにしてもニネベに対しても利己的な動機で物事を考えたのです。


 ヨナが答えた記述はどこにもありません。神様の問いかけでヨナ書は終わっています。


 ヨナは自分の怒りが間違っていたと考えを改めたでしょうか?


 皆様のご想像にお任せ致します。


 ヨナ子ちゃんはどうでしょう。ニネベ君がげんこつをもらわなかった事はいいことだし、自分が気に入らないニネベ君が懲らしめられるのをいい気味だと思うのは……間違っていたと反省したかもしれませんね。


 ヨナお疲れ様でした。次回からヌンの子ヨシュアについてお伝え致します。

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