第53話 ダニエル 巨木の夢の解き明かし
ネブカドネザルはまた夢を見る。今回は夢の内容をしっかりと覚えているので、本人に話してもらいましょう。ネブカドネザル君どうぞ。
「大地の真ん中に非常に高い木があり、その木は成長して強くなり、頂きが天に達した。葉が美しく茂り、豊かに実がなって全てのものを養う事ができた。木陰に野獣が集まり、枝に鳥が住み着き、全ての生き物がその木から食べ物を得た」
ダニエル4:10~12
またスケールのでっかい夢を見ましたね。大きな木に動物たちが集まる平和な夢ですね。でもネブカドネザル君、怯えて話を続けます。
「すると、天から聖なる者が下ってきて、大声でこう言った。『この木を切り倒し、枝を切り落とし、葉を振り落とし、実を撒き散らしなさい!木陰から野獣を、枝から鳥を追い払いなさい!しかし、切り株と根は地面に残し鉄と銅のたがをはめて野の草の中に放置しなさい。――天からの露にぬれさせ、野獣と共にならせて、7つの時をその上に過ぎさせよ!』」ダニエル4:13、24
聖なる者って誰?――神様に仕える天使です。大きな木を切って、根株の成長を止めて、放置しろということです。この木は何を表すのでしょうか?
我らがヒーローダニエルが、解き明かしのために呼ばれています。お疲れ様ダニエル。ネブカドネザルからいまだにベルテシャザルとバビロン名で呼ばれてるんですって?御愁傷様。
ダニエルの解き明かしはこうです。イスラエルの神様の言葉を伝えます。『ネブカドネザル王は圧制と誇りによる支配者なので、7年間、王宮を追われます。獣のように藁を食べて謙遜になりなさい!以上』
そうだった、ネブカドネザル君、自分を崇拝しない人間を焼き殺そうとしたよね、あなた!しかもイスラエルの神の民ですよ、将来あるお坊っちゃま達を殺そうとしたのよ、あなた。そりゃあ、バチ当たるわ。
それを聞いたネブカドネザルはパニック。聖書の中で木は、個人、王国、支配権を表すから、残念です。ネブカドネザル君の支配権剥奪。
ダニエルはとても優しい。あまりにも落ち込み驚愕するネブカドネザルにこう言う。
「王よ、義を行って罪から離れ、貧しい人達に憐れみを示して悪から離れなさい。そうすれば、繁栄が長続きするかもしれません」ダニエル4:27
ネブカドネザルはせっかくの忠告を肝に命じ……なかった。相変わらず自慢する。バビロンの空中庭園(世界の七不思議)を自慢したくなるのは分かりますけど……知らないよ。
次の瞬間、イスラエルの神はネブカドネザルを獣に変えた。姿はそのままなのに、四つん這いになって、雄牛のように草を食べる。髪の毛伸び放題、爪も伸び放題。王よ、恥辱だ。残念。
夢の通りに、7年の間、ネブカドネザルの支配権は取り去られ、エビル・メロダクが代行する。
きっちり7年後、ネブカドネザルは正気に戻りまたバビロンの王として支配する。良かったね。
イスラエルの神様は、傲慢な者が大嫌い。謙遜になると祝福を与える神様だ。ネブカドネザルは得意の手のひら返しで、天の神を賛美しあがめ、栄光をたたえた。
バビロン治世第43年目に死亡。お疲れ。
ネブカドネザルの獣変身は信憑性にかける。しかし、イギリスの画家ウィリアム・ブレイクの絵やオペラの題材になっている。裸ですけどね。
信じるか信じないはお好きな方で……。
ダニエル、お疲れ様でした。けど今度もまた解き明かしの為に呼ばれます。
さぁ、解き明かしの舞台、ベルシャザルの宴会が始まります。ダニエルがんばれー!
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