星に願いを

「ほーい、短冊持ってきたよー」


「あっ、ありがとーじゃあ、早速願い事書こっか」


「なんか、こういうのって小学生みたいだね」


「ふふっ、そうねっ」


「――よしっ、できた。チハルは何にしたの?」


「えっ!? そ、それは……秘密」


「なんだよーいいじゃーん、見せてみって!」


「あっ、ダメっ!」



『リュウと相思相愛になれますように』



「なーんだ、そんなことか」


「そんなことって――」


「バカだな、叶ってる願いを書いたってしょうがないだろ?」


「え…………エッ!?」


「違うの?」


「ちっ、違うくないけどぉ……てかっ! じゃあ、そういうリュウはなんて書いたの!?」


「ん? 俺は『織姫様と彦星様が今年は会えますように』ってな。俺が覚えてる限り、ここ数年はずっと雨ばっかだったし会えてねんじゃねーかなぁーって思ってね」


「っぷ、ないその可愛らしいお願い」


「俺はとんだロマンチストだからな」


「でもさ、普通に考えて1年に1回しか好きな人と会えないなんて可哀想だろ? 自分の立場で考えてみ、嫌でしょ?」


「う、うん……1年にたった1回だけなんて、嫌だな……」


「だろう? だから俺は2人のためにこんな健気なお願いをするエラい人なの」


「それ、自分で言わない……」


「へへっ」


「でも、それいいかもね。私もやっぱそれにする」


「――今年は晴れるかな?」


「晴れると、いいな――」

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