第56話 リハビリ失敗?

 夏休みの宿題ってみなさんどうされてました?


 夏休みがはじまってすぐ終わらせる? 終わり間際になって手をつける?


 わたしはと言うと、そのどちらでもなく、そのどちらでもあると言えます。


 はじまってすぐ手をつけるのですが、苦手な分野……たとえば作文や自由研究なんかはスルーして、終わり間際まで放置します。そして、たいていは期間内に終わりません。2学期に入ってから、終わらせるか、けっきょく未提出で済ませます。


 だから、わたしは締め切りがあるとぎりぎりまで放置してしまううえに、ぶっちぎってしまうことが多いんです。かといって、締め切りがないと、そもそも手をつけない。


 だから、自分で締め切りを設定するときは余裕を持たせるんですけど、それが自分でもわかってるので、まず手をつけない。本当にぎりぎりのところまで来ないとやる気にならないし、はじめたところで間に合わないんです。


 前置きが長くなりましたが、各所で「参加する」と公言していた自主企画「筆致は物語を超えるか【海が太陽のきらり】」の締め切りを見事にぶっちぎってしまいました。


 これも企画が発表されてすぐ得意な作業……プロットに取りかかったんですけど、苦手な作業……執筆の方を放置してしまい、11月になったらやるから、1週間前になったらやるから、3日前になったら……と先延ばしにし続けた結果、1日前になってようやく書きはじめることになり、当然のごとくタイムオーバーになりました。


 プロットはすでに組み上がってるのだから、あとはそれを文章の形にするだけ……と、そんな簡単にはいかないのが小説の難しさです。ブランクのせいもあってか、いまいち勘が戻らず、ひいひい言ってる間に締め切りを回ってしまいました。


 改めて自分の遅筆ぶりを思い知らされます。プロットも含めたらそれなりの時間を費やしてるはずなんですが、それでも完成しない。もうちょっと話が短ければあるいは……といったところですが、無駄に入り組んだ話を考えてしまったため、とうてい1日でどうにかできる作業量ではなくなってしまいました。


 いや、本当に。みなさん何でそんなに早く書けるんでしょうか。いい意味で適当に書ける……んでしょうかね。わたしは理屈がないと何を書けばいいかわからなくなるので、とにかく時間がかかるんです。絵にたとえると、みなさんがフリーハンドでささっと描くようなものを、地道にドットを打って表現してる感覚ですね。もうちょっとフィーリングに頼れればいいのですが……


 この辺、自分の方法論が不経済だなあと思うところです。たしかに有効性はあるのかもしれないし、才能がなくても然るべきプロセスを踏めば着実に完成に近づくメソッドなのかもしれませんが、その分、膨大な時間を必要とする……


 わたし自身は作品を発表することより考えることが好きなので、基本的にはそれでいいんですけど、今回のようにここぞというときに発表までこぎつけられない。今後の課題として、「いいものを書く」というだけでなく「かぎられた時間で確実に完成させる」という視点も取り入れていく必要がありそうです。


 とまれ、この企画から得たものは大きいです。完成までは至らなかったとはいえ、久しぶりに執筆までこぎつけましたしね。また、創作過程で新たに気づかされたことも多いです。その辺は「空想体験記」の創作論編にばっちり反映されています(あっちも当初想定していた締め切りを大幅にぶっちぎってたり……)。


 この連載を休んでる間、筆を折ろうかとさえ思ったわたしがここまで這い上がれたのはこの企画のおかげです。


 ありがとう、「筆致は物語を超えるか」。ありがとう、ゆあんさん。第3弾があれば今度こそとっておきの作品を引っ提げて参加させていただきます。


 何はともあれ、創作活動復帰に向けた第一歩は踏み出したわけです。そう遠くなく、新作を発表できるのではないかと。


 最後に、その辺の予定も触れておきましょう。


 いちおう、いま作業を進めている作品があります。年内には発表できたらいいなあ、と思っているのですがどうなるでしょうか。


 タイトル?


 そうですね。未定の部分も多いですが、それだけははっきりと決まっています。


「海が太陽のきらり」です。


 ……


 え、言ってませんでしたっけ。主催のゆあんさんが企画期間終了後も作品の応募を受け付けるとアナウンスしてるって。


 なんだ、この茶番は、と思われそうですが、許してください。このエピソードを書いてる途中で発表があったんですよ。くりぃむしちゅーのオールナイトニッポンのお約束「終了コント」の真似事がしたかったとか、そういうことじゃないんです。決して。


 とにかく、そうアナウンスされたからには、どうにか完成させるつもりです。戸松秋茄子の復活作にして新境地を開く傑作、くらいのものは目指します。問題は、締め切りがなくなったことで、またモチベーションを保つのが難しくなったことなのですけど……ああ、白紙のまま終わった作文の数々がこちらを見つめている。


 しかし、今回は負けません。


 必ず書きます。たぶん。

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