第70話 スター・ゲイト
「異世界という言葉がありますが―――」
「おっ、興味深いね」
「あのような世界もいちおう地球とは時間的・空間的に地続きのところにあるのです。宇宙空間を隔てているのに地続きというのも変な話なのですが」
「う~ん、たとえば漫画の世界と現実世界は相容れないものだけど、異世界は物理的な時空間を移動しさえすればたどり着けるってことかな?」
「さようです。もしかすると、漫画のような異世界もあるかも知れませんよ」
「で、こないだレオンくんが言ってた話だけど」
「信じられませんか?」
メシヤはボウスハイトと対峙した日のことを思い出す。
「マナの聖杯を手に入れたことによって、第三の剣、光瑤剣を生み出すことが出来た。レオンくんの言葉では
「そうです。そして、このエメラルド・タブレットを探し出したことによって、メシヤくんの臥龍剣・鳳雛剣のエネルギーキャパもほぼ無尽蔵となったのです」
「ほぼ無尽蔵ってのが引っかかるけど、まああれだけのエネルギーを吸収できるなら無尽蔵と言っても過言じゃないね」
「はい。鳳雛剣に太陽の火力を。臥龍剣に地球の水力を」
「でも、そんなことしたら人類滅亡だね」
「心配には及びません。太陽の総熱量は3.85×10^26 j/s 地球の総水量は13.5億立法キロメートルほどですが、昨今の地球温暖化・海面上昇の影響分だけ吸い上げれば事足ります」
「ああ、それなら地球にとっても環境が改善されて言うこと無いね」
「地球の双子星での不具合がそういうところに
「そこに僕たちが行くんだね」
「はい。そこは、いまではデス・ヘブンと呼ばれています」
「僕たちがいなくなるあいだ、学校が気になるね」
「そちらも問題ありません。破軍の剣が銀河間航行を可能にするスター・ゲイトを生み出すのですが、エネルギーが膨大すぎて時空間を歪めてしまうのです。メシヤくんたちが8月8日の午後8時に出発したとしたら、そのわずか一時間後に戻ってくることも可能です。向こうで数年過ごしたとしてもね」
「デス・ヘブンで何が起こったの?」
一瞬、重い空気が張り詰めたあと、レオンは答えた。
「徹底的なまでの破壊と、殺戮です」
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